文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

高田郁『天の梯 みをつくし料理帖』

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装画:卯月みゆき

『食は、人の天なり』――医師・源斉の言葉に触れ、料理人として自らの行く末に決意を固めた澪。どのような料理人を目指し、どんな料理を作り続けることを願うのか。澪の心星は、揺らぐことなく頭上に瞬いていた。
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=4849


 まさに、雲外蒼天。そんなストーリーでした。みんなが笑顔になるような大団円。つる家の人々同様、別れはさみしいですが、これから始まるんだなと思わせるラストはよかったと思う。野江ちゃんの身請けに関する澪の考え方、出した知恵がよかった。身請けのお金が心配でしたが、その手があったかって感じです。翁屋にも一杯食わせてやった感じでちょっとすっきりしました。登龍楼はあんな顛末でしたが、首謀者に関してはやや消化不良な気もしないでもないです。澪の言うとおり、もうまともな料理人としてはやっていけないだろうけど。

 これで終わりというのがやっぱり淋しい。どのキャラにも愛着わいていたし。でも、番外編の予定が一応あるそうで今から楽しみだったり。そこで幸せいっぱいな彼らがみたいです。新しい旅路に出た澪と源斉先生の話とかつる家のみんなのこと、野江ちゃんサイドの話とか読みたいですね。特に野江ちゃんの心情は語られることがほとんどなかったので気になるところ。
 で、本編の感想の続き。いつも書いてますが、相変わらずのおいしそうな料理でした。親父泣かせと言わしめさせた自然薯料理が非常に気になります。食べてみたい。登場人物たちの優しさも変わりなく、幸せにつながる結末もあって、とても温かな気持ちになりました。大満足です!
 おまけの番付表にもぐっと来ました。つる家とみをつくし(名付けが清右衛門なのがまたいいなと思う)が大関! 一柳が天満一兆庵と名前を変えてることにも驚いたり。まあとにかくこれを見れば、お互い元気にやってるんだなってわかって心あったまりそうです。

 

内容
 結び草―葛尽くし
 張出大関―親父泣かせ
 明日香風―心許り
 天の梯―恋し粟おこし

※2014年の読書記録。