文字を食べる

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高田郁『夏天の虹 みをつくし料理帖』

装画:卯月みゆき

想いびとである小松原と添う道か、料理人として生きる道か・・・・・・澪は、決して交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。(中略)表題作「夏天の虹」を含む全四篇。大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、〈悲涙〉の第七弾!!
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=4166


 なんでこうも辛いことばかり起こるのだろう…。澪の恋の話の結末とか、料理人にとって大事なものの喪失とか色々あったけど、最後の話に全部持ってかれました。涙なしには読めない。

 最後の話までは辛いこともあったけど、まだ一縷の希望はあったような気もします。柳吾のアドバイスもあったし(この人結構鋭いことばかり言うけど、それも澪に見込みありだからだろうし)、つる家のみんなや又次のフォローもあった。
 又次さんとふきちゃんのやりとりにはほのぼのした。包丁の扱い教えるシーンだとか。蕗づくしの料理もよかった。そこから続くお別れのシーンもぐっときた。あんなに又次さんのこと怖がってたふきちゃんだったのに。でも、あの時点ではいつか会うこともできたかもしれないのに、もう本当に会えなくなっちゃうんだなあ。澪も料理の話をする相手が…。悲しい。野江ちゃんも心配。

 又次さんが澪に食べてもらいたかったという柚べし。嗅覚も味覚も戻って、それがどんな匂いか味か感じることはできたけど、恋を諦めるより辛いことがあったからなんですよね。虹が爽やかだけど、切ないラストでした。


内容
 冬の雲雀――滋味重湯
 忘れ貝――牡蠣の宝船
 一陽来復――鯛の福探し
 夏天の虹――哀し柚べし