文字を食べる

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高田郁『残月 みをつくし料理帖』

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装画:卯月みゆき

吉原の大火、「つる屋」の助っ人料理人・又次の死。辛く悲しかった時は過ぎ、澪と「つる屋」の面々は新たな日々を迎えていた。そんなある日、吉原の大火の折、又次に命を助けられた摂津屋が「つる屋」を訪れた。
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=4547


 前巻かなり辛かったラストだった分、気になっていた新刊です。一気に読みました。料理の描写は変わらずおいしそうでした。
 物語も終盤に差し掛かっているのか、今回で色んなことが動いたような気がします。ご寮さんが息子・佐兵衛との念願な再会を果たしたり、澪が野江ちゃんと対面する場があったり…。(といっても、この対面はあくまで料理人とあさひ太夫としてのものだったけど)。源斉先生の二人を考えての申し出には思わず頬が緩みましたが、又次さんのことを思い出して切なくもあります。
 しかし、澪は本格的に野江ちゃんの身請けを考え、つる家をやめる感じになってるけど、次はどうなっちゃうんだろう。考えると寂しくなりますが、二人が本当の再会できる時が待ち遠しい。

 今回も登龍楼は相変わらずでしたが、澪の啖呵はすっとするものがありました。ひやひやもしましたが。随分成長したんですね。彼女だけでなく。ふきちゃんも色々向き合って、料理の腕も上達してるみたいだし。それに美緒の妊娠や、ご寮さんと柳吾さんのこととか幸せな話もあったし。火災に水害、悪いことが続いたけど、明るい未来が待ってるようなラストでほっとしました。まだまだ苦難は続きそうだけど、見守っていきたいですね。続きが楽しみです。

 

内容
 残月―かのひとの面影膳
 彼岸まで―慰め海苔巻
 みくじは吉―麗し鼈甲珠
 寒中の麦―心ゆるす葛湯
 秋麗の客