文字を食べる

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髙田郁『小夜しぐれ みをつくし料理帖』

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装画:卯月みゆき

季節が春から夏へと移ろい始める卯月のある日。日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。美緒の話によると、伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。果たして、美緒の縁談の相手とは!?――(第三話『小夜しぐれ』)。
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=3794


 料理成分はいつもより少なめでちょっと寂しいですが、でもおいしそうな描写であることは変わらず。
 今回は色んなキャラの素性や過去がわかる回でもあり、人間関係の進展がある回でもありました。種市の過去やおつるの死のこと、小松原の普段の生活のこと、美緒の婚約のことなどなど。翁屋の料理人に誘われた澪の答えはまだ出ぬまま。

 美緒の結婚の話はちょっと切ないですね。相手は中番頭を務める爽助なる人物。一回りも上という話だけど、誠実で心優しい人。これはこれで幸せにはなれそうではあるけども気持ちを考えると。まあ最終的にはちゃんと心を決めてるんですけど、あれは源斉先生と澪の姿を見たからなんですよね。やっぱり源斉先生は澪に好意を抱いてるっぽいですね。
 ラストの話は外伝的な話で、何かと謎の多い小松原が主人公となった話。つる家の面々は出てきません。が、普段謎な小松原の日常がのぞけてちょっとおいしいかも。澪は脈ありってことなんですかね。数馬の妹の早帆さんが強すぎて笑っちゃいました。

 

内容
 迷い蟹――浅利の御神酒蒸し
 夢宵桜――菜の花尽くし
 小夜しぐれ――寿ぎ膳
 嘉祥――ひとくち宝珠