アガサ・クリスティのポアロシリーズの読書記録をまとめました。
読了順です。
ポアロシリーズ
『スタイルズ荘の怪事件』
原書名:The Mysterious Affair at Style
訳:矢沢聖子
旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは到着早々事件に巻き込まれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。調査に乗り出すのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命したエルキュール・ポアロだった。不朽の名探偵の出発点となった著者の記念すべきデビュー作が新訳で登場。(解説 数藤康雄)
スタイルズ荘の怪事件 | 種類,クリスティー文庫 | ハヤカワ・オンライン
ポアロシリーズの始まり。クリスティの処女作品だそうです。
ポアロの名前は知っていたけれど、内容はさっぱり知らないという事実…。こういうミステリーのシリーズは途中から読んでも大丈夫なこと多いですが、やっぱりシリーズの1作目から読みたいということで、こちらから読みました。
ネタバレになってしまうから深くは語れない、という点についてでミステリの感想って難しいなあ。
読んでいる最中、犯人は誰だろう? とヘイスティングズになったつもりで考えてみましたが見事に外れました。ポアロはこう言ってたのに~! とちょっと悔しい。
私がポアロについて知っていたことといえば、小男だということと立派な口髭ということだけでしたが、彼はとっても紳士なんですね。事件とは関係ない部分のことでさえも、先を見越して解決してしまうんですよ。そんなことのために、とも思ってしまうけれども、そんなことのためにも働けるポアロってすごいと思います。作中のポアロとヘイスティングズの掛け合いがよかった。親子みたい。おもしろかった!
★創元推理文庫版(訳:山田蘭)
★新潮文庫版。(訳:能島武文)真野明裕さんという方の訳のものもあるみたいです。
定番作品はいろんな出版社から出版されているんだなあ。
『オリエント急行の殺人』
原書名:Murder on the Orient Express
訳:山本やよい
真冬の欧州を走る豪華列車オリエント急行には、国籍も身分も様々な乗客が乗り込んでいた。奇妙な雰囲気に包まれたその車内で、いわくありげな老富豪が無残な刺殺体で発見される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出すが、すべての乗客には完璧なアリバイが……ミステリの魅力が詰まった永遠の名作の新訳版。(解説:有栖川有栖)
https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/321008.html
アガサ・クリスティーの作品の中でも有名なこの「オリエント急行の殺人」。事件が起こる前までの話はそう熱心には読んでなかったのですが、1人1人乗客から話を聞く場面に入ってからはページを捲る指が止まらなくなります。おもしろい!
事件の舞台は雪の中を走る列車。殺されたのは忌まわしい過去を持つ1人の男。同じ列車に乗っていた客たちにはそれぞれアリバイがあって、全然隙がありません。犯人が残したとされる、いわゆる「証拠」もあまり確実なものではないという…。でも、ほんとに些細なことが事件の解決の糸口になったりしてるんですよね。なんとなく流していた部分に。
犯人や男を殺害したトリックには驚かされました。やっぱり固定観念は捨てなきゃいけませんね。本当に驚かされっぱなしです。「当たり前」な結果にならないのがクリスティー作品なのですね。途中でどうも皆が皆疑わしく思ってたんですが、まさかあんな結末になるとは。なるほど、どうりで乗客たちの証言の辻褄が合ってたはずです。
どんな理由があっても、それが決して許すことのできない罪を犯したものへの制裁だとしても、殺人はしてはいけないと思う。でも、それを黙認することに決めたポアロ。ここでたぶんこの作品への評価が変わると思うのですが、私はこの終わり方も好きです。この事件、何気に人情話でした。犯人がわかったときとか、胸にぐっとくるというか、じんわりします。
★読んだのは旧訳版でした。(訳:中村能三)
人気作品なので、いろんな出版社からいろんな方の訳が出ています。装丁もいろいろ素敵なので、いつか自分用に書影並べたページ作りたいなあ。
『アクロイド殺し』
原書名:The Murder of Roger Ackroyd
訳:羽田詩津子
名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめた。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せる。ミステリ界に大きな波紋を投じた名作、新訳で登場。(解説 笠井潔)
https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000011049/pc_detail/
フェアかアンフェアか。ミステリ界に波紋を呼んだ作品のようです。まあ、フェアじゃないと唱える人の気持ちもわからないでもないですが、この作品みたいな結末(というか犯人)があってもいいと思います。たぶん、これがフェアじゃない! って主張する人は自分がまんまと作者に騙されたのが悔しかっただけなのではないか、なんて思ったり。大体、誰もその人のことを犯人じゃないって言ったわけじゃないですし、ちゃんとそのトリックの種は作中にもありましたしね。十分かと。
犯人については、そんなに驚きませんでした。最近読んだミステリで似たような経験をしていたので最初から信じてはいなかったんです。ミステリを読むときは一応全員を疑っておこうと決めていたので。大抵、探偵役はその対象から除外してますけど、ポアロにはお見通しだったのですね。
でも、犯人のことではなく、その文章にまんまと騙されてしまいました。ただの1人称の小説ではなかったということですか。そういや作中にちゃんと書かれてました。
ミステリ読んでると時々思うのですが、犯人なのに自分も事件のこと考えたり(推理)するのってどんな気持ちなんでしょう。なんか変な感じがします、が、それによって驚きも増えるってのも確かなのかも。