文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

八木沢里志『純喫茶トルンカ』

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装画:伊藤絵里子

谷中商店街から一歩外れた路地裏に佇む純喫茶トルンカ。物静かなマスターが淹れる珈琲は美味しく、思い出に浸る場所でもあった。
https://www.tokuma.jp/book/b607343.html


 東京の下町(谷中)にひっそり佇む、珈琲がおいしい純喫茶トルンカ。そんな喫茶店を舞台とした色んな「再会」を描いた話。
 喫茶店で働くバイトの青年が「前世で恋人だった」という女性と出会う話、かつての恋人と過ごした思い出の街にやってきたおじさんと純喫茶の常連のお姉さんの話、そして看板娘の雫のほろ苦い恋の話…。再会の話と同時に、いろんな愛の話でもあった。立花家に悲しい過去があったとは。

「<再会とは、人生における一番身近な奇跡である>」
(「再会の街」p204より)
 上記のセリフは作中に出てくる生花店アルバイト&フリーのイラストレーター、絢子のもの。まさにこんな感じ。

 珈琲のようにビターだけど、珈琲のようにあったかくてほっとするような話だった。雰囲気よく、読後感よし。
 読み終わったあとは珈琲が飲みたくなった。私はブラックでは飲めないから絢子さんのようにミルクをたっぷり入れたのがいいな。

 ちなみに、喫茶店の「トルンカ」は「イジー・トルンカ」からとられたと作中にある。
 イジー・トルンカ - Wikipedia
 ちょっと興味がわいた。

目次

「日曜日のバレリーナ」
「再会の街」
「恋の雫」


☆読んだのは新装版。最初の表紙は↓