お金持ちの両親の目を盗んで,夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと,おかあさん思いの貧しいアントン少年.それぞれ悩みをかかえながら,大人たちと鋭く対決します―つぎつぎと思いがけない展開で,ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語.
https://www.iwanami.co.jp/book/b269535.html
お金持ちの点子ちゃんと貧しいアントンの友情とその家族を書いた話。章の合間に入る作者目線の説教・考察、なんでこんなのあるんだろうと思ったら、書かれた時代背景も関係しているのかもしれないのか。なるほどなあ。
ネグレクトにヤングケアラー。気持ちがばらばらだった点子ちゃんの家族がまとまってきたり、アントンとガスト夫人の暮らしが約束されたり、やっぱりハッピーエンドはこうでなくっちゃ。
尊敬できる人はたしかに必要。大人になった今は作者の「立ち止まって考えたこと」を読むことは大切なのかも。
それにしてもアンダハトさんはどうなったんだろう。追いかけることはしなかったみたいだけど…。
本編に出てくる料理の描写も好き。
アントンは、フライパンにマーガリンを入れて、もう片方のガスコンロに置いた。それから、といた卵をフライパンに流し入れると、ジャーっと、いせいのいい音がした。
「塩を忘れるなよ、アントン」
アントンは、自分に命令して、塩をひとつまみ、フライパンの黄色い液にぱらぱらとふりかけた。卵に火が通ってくると、アントンはスプーンでかきまわした。カチャカチャと、いかにもおいしいものができていくような音がした。
(p37より引用)
塩を忘れるなよ、がいい。