装画:カシワイ
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、 なぜいま野亜高校の図書室に戻ってきたのか。
体育祭を控え校内が沸き立つなか、1冊の本に秘められたドラマが動き出す。
https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53799-3
貸し出されたままだった『飛ぶ教室』が10年ぶりに図書室に返ってきた。謎のメモを挟んで。返したのは誰か? 謎のメモの意味は? 足を痛め、友人の代わりに図書委員の仕事をすることになったバレー部の百瀬花音と図書委員の俵朔太郎の凸凹コンビが謎を解く。ミステリー風味の苦くも爽やかな青春小説。読みやすく、面白く一気に読みました。読書感想文の本にとしても良さそう。
「5人の腕白ども」が誰かわかった辺りで先生の和己ちゃん周りの関係はなんとなく察した。悲しい事件があったんだな。朔太郎と江森さんの関係、そして亡くなった佐々野さん…。切ない。『飛ぶ教室』の謎を早く終わらせたがっていた朔太郎の気持ちが終盤になってようやく理解できた。あの本、朔太郎がお守りとして持っていても良さそうで、よかったなあと思う。
奈良くんに笠原さん(生徒会長)…新しい土ダンができて、これに関してもよかったと思う。目まぐるしい一週間が終わって迎える月曜日、百瀬さんは楽しみになったようで。朔太郎くんとはいい感じのカップルになりそうだ。
学校司書の伊吹さんがすごく好き。適度にほっといてくれて、気にしなければいけないところはきちんと見てくれてる感じ。海の見える野亜高の図書室は居心地が良さそうだ。個人的にも蔵書検索機の「本のソムリエ」機能使ってみたい。こんなのあったらいいのにな。
巻末に俵朔太郎くんによる、作中に登場した作品の紹介ポップあり。彼らしい感じでよかった。百瀬さんは「3行程度」でとアドバイスしていたけれど、あの文量に彼の本への熱がつまっている気がする。「ギムナジウムって響きがいい!」私もそう思う! 笑いました。
以下はすごく共感した言葉。
「図書室は、ひらいていることに意義がある」
p77 学校司書伊吹さんの台詞
そのとおりだと思う!