創元推理文庫
カバーイラスト/影山徹
カバーデザイン/山田英春
『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』――昭和九年、銀座のバーで交わされた奇妙な噂話が端緒となって、帝都・東京を震撼せしめる一大事件の幕が開く。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488471118
昭和初期の東京が舞台。日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うという奇妙なできごとをきっかけに事件が起こる。
登場人物も展開もなんだか色々ごちゃごちゃしてて読みづらく、最初は読み進めるのに苦労した。でもそのごちゃごちゃ加減がカオスな魔都・東京っぽくていいのかもしれない。すごく濃密な30時間。脳内で勝手に葛葉ライドウ風に映像が流れていた。
読み終わった今、結局なにがどうなったんだ? という気持ち。さっぱり訳がわかっていない。古市と眞名古が協力する展開くる? と思ったけどそんなことはなかったし。古市死んじゃうし。ラストの眞名古が哀愁漂っていて物悲しい。でも、読んだことにすごく達成感を覚えた。なんだかんだ楽しかった。
あんまり感想ではないですが、作中に出てくる「安南国」について。どこかちゃんとわかってなかったんですけど、ベトナムだったんですね。これを読んだあと、とある美術館の展覧会でそのことを知りました。知らないことばっかりだなあ…。
ちなみに久生十蘭は著作権が切れているので、青空文庫でも読めます。でも、結構長いので本で読む方が読みやすいかも。
www.aozora.gr.jp