文字を食べる

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梨木香歩『エンジェル エンジェル エンジェル』

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コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは――なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす……。


 コウコとおばあちゃんの短いけれど、不思議な触れ合いの話。各章の数字が黒いのは現在、薄くなっているものは過去と、交互に話が進んでいきます。

 おばあちゃんがまだ少女だった頃の話が、今のコウコに絶妙に関わっている。天使と悪魔。水槽の中での悪魔。それに、神様。ラストのサイドテーブルの隠し引き出しから出てきたという、木彫りの人形の説明にはじーんとしました。その不細工だけど魅力のある木彫り人形が、この物語のいろんな事を示しているような気がします。題名のエンジェルの1つはこれでしょうか。
 あと、きっとコウコって名前はおばあちゃんが付けたんでしょうね。