文庫改題:『萩を揺らす雨』
とあるマンションの一室で虐待が行われていると気づいたお草。ひとり捜索まがいのことを始めるが…。オール讀物推理小説新人賞受賞作
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163266503
特別コーヒー好きというわけではないのですが、珈琲屋が舞台と聞くとなんとなく気になってしまいます。
この話はコーヒーの試飲ができるコーヒー豆と和食器を扱うお店の店主・おばあちゃんなお草が主人公。おばあちゃん主人公というと何故か世話焼きというかお節介というかそんなイメージがあるのですが、お草さんは人との距離感を考えてるところがあるというか落ち着いていて、そういうところはなかったです。彼女が現在1人身で、昔幼いわが子を亡くしたという設定があるせいか、死を考えさせるというか全体的に物悲しい空気が漂っていたような気がします。読む前はほのぼの系? とか思ってたのですが。
話としては最初の「紅雲町のお草」が印象に残ってます。事件もきついんですが、解決までの道のりが。まさかな相手を一時的にしろ味方にしちゃうところが、お草さんすごい! って感じです。度胸があるというか。あの人は今後も出ることがあるんでしょうか。
内容
紅雲町のお草
クワバラ、クワバラ
0と1の間
悪い男
萩を揺らす雨
★文庫版(装画:杉田比呂美)