文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

範乃秋晴『装幀室のおしごと。』

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副題:~本の表情つくりませんか?~
カバーイラスト/uki 鈴木亨/デザイン
メディアワークス文庫

装幀家……それは本のデザイナー。カバーにイラストを使うか写真を使うか、ロゴや紙の種類をどうするかなど“本の表情”をオーダーメイドで創るお仕事。出版社の『装幀室』で巻き起こるドラマ全3篇をお届けします。
https://mwbunko.com/product/321612000011.html


 本の装幀を扱ったお仕事小説。
 「装幀は本の表情」だからちゃんと作品と向かい合うべきだと主張するわらべと装幀家はデザイナー」、と与えられた条件で最大限の成果を出すのが仕事だと主張する巻島。どちらの言い分もわかるし、どちらが間違ってるとも言えない。
 そんな主義主張の違う二人が出版社の合併を機に、共に仕事をすることに。反発しあうが二人は本に合う最高の装幀を作成していく。
 最初に出てきた人気作家、湯川の装幀家に対する態度が大御所とはいえどうなのよと思ったが、それには過去にあった出来事に原因があった。そのときの流行りだけで中身のことを考えない独りよがりな装幀は私もダメだと思う。
 わらべが過去に小説を書いていたり、その装幀を巻島が扱っていたり、とフラグを立てつつ。意外な接点に二人の装幀に関する主張が見えておもしろい。
 一緒に仕事をする期間は4ヶ月だけだったけど、これからも一緒に仕事をすることになったふたり。きっと素敵な本の表情を作っていくのだろうな。さわやかな話だった。

目次

プロローグ『硝子』
第一章『新選組列伝』
第二章『僕の考えていること』
第三章『パンドラの箱