文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

ミュリエル・ドビン『犬ですが、ちょっと一言』

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訳/乾信一郎/
カバー画/ミュリエル・ドビン、ジーン・ラサー
カバーデザイン/和田誠

ぼくは犬、名前はジョー。ぐるっと世の中を見回すと、人間はやれ害虫駆除だ、自然保護だとまわりの動物にちょっかいを出すし、動物のほうだって甘やかされて堕落してるヤツが多い!――なにかとおかしい動物や人間についていっちょう書いてやろうと決心した、心優しい熱血犬による、ユーモラスな体験的現代批評
https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/90112.html


 原題の訳は『ジョーの世界』というらしい。日本語版タイトルすごくいいと思う!
 この本の主人公はゴールデン・レトリバージョー。お酒が好きで、人間世界の動向をよく見ていて、コミュニケーション能力が高いのか、飼い主の“彼女”の仕事(記者)が影響しているのかいろんな動物、昆虫たちと話をし、日々のできごと、自分の考えをタイプライターで打って、日誌として残している。この本はそんな彼・ジョーを中心とした日常の話。彼女にできた彼氏・チャーリーを毛嫌いしていたのに、だんだん仲が深まっていくのが微笑ましかった。
 いとこのジョセフ、町はずれのヘイトなど、登場動物キャラも個性的でよい。
 人間やその社会への皮肉あり。とてもおもしろかった! 味のある挿絵もかわいかった。ラスト、ジョーの日誌を発見した彼女はどんな行動をとるのかな? 「おわり?」のハテナがいいなと思った。物語がこれからも続いていく感じがして。良い読後感。