もう少しで夏休み。新太は公園で、真っ黒な服を着た不思議なおじさんと話をする。それが、ちょっと変わった探偵伯爵との出逢いだった。夏祭りの日、親友のハリィが行方不明になり、その数日後、また友達がさらわれた。新太にも忍び寄る犯人。残されたトランプの意味は?探偵伯爵と新太の追跡が始まる。
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この作者の著作は他にも何点か読んだことがあるのですが、今回のはなんだかちょっと雰囲気が違うなあと感じた。本文の字の大きさがやや大きめだったり、簡単な字にも振り仮名があったり、内容も小難しいものじゃないし、主人公の語り調だとか、児童向けを意識してるのかな? なんて思いながら読んでたんですが、やっぱり意図的にそういう風にしてあったんですね。調べてみたんですが、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と謳われている講談社の「ミステリーランド」というシリーズだそうです。他の作家さんたちのも簡単に紹介を読んでみたら興味わいてきました。他のも読んでみたいかも。
子どもでも楽しめる、を意識されてるだけあって、話自体は難しいものではない。扱ってるテーマもやや重めな感じだけど(あっさり書かれてるけど、実は大変な事件だよなあ。殺人だし)、押しつけられてるというか、説教臭くないのがいいなあと思う。探偵伯爵と僕のやりとりは温かいものも感じた。
作中の話が「僕」の書いた日記という設定なんですけど、最後に探偵伯爵からの手紙で明かされた事実には驚きました。殺された子たちも含めてそれが逆転するとなると、事件の捉え方が変わってくるような気が…。
○単行本。読んだのはこれでした。(装画:山田章博)
○ノベルス版