文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

森晶麿『黒猫の遊歩あるいは美学講義』

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装画:丹地陽子
第1回アガサ・クリスティー賞受賞作

美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」と、
彼の「付き人」をつとめる大学院生は、
美学とエドガー・アラン・ポオの講義を通してその謎を解き明かしてゆく。
https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21128.html


 丹地陽子さんの装画がとても好みだったので手にとったもの。
 大学教授の「黒猫」とポオ研究をしている「私」による謎解き話。話はどれもポオの作品を下敷きにしており、ポオ作品を読んだことのある人の方が楽しめそうです。話の中にはポオ作品のネタバレを含んでるものもあるので、やっぱり読んでからの方がいいかもしれません。ただその場合、話の前にアナウンスが書かれてるのでネタバレの回避は一応可能です。選評のところから察するとこの辺りの配慮は最初はなかったっぽいですね。

 文章も綺麗だし話も悪くはないのですが、なぜか読むのに少し手間取ってしまった。なかなか頭に入ってこないというか。自分が芸術方面に疎いから物語の中のキャラたちの発する言葉の意味が理解できないというか。ちょっと小難しいのかも。作品へのキャラの解釈を通しての謎解きなので仕方ない。でも、それがまた新しく感じられて新鮮ではあったのですが。
 「黒猫」と「私」の微妙な関係はよかったです。不思議な距離感の二人だと思う。

 

○単行本