文字を食べる

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小路幸也『話虫干』

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装画:丹地陽子

とある町の図書館に出没する話虫(はなしむし)。漱石「こころ」のなかに入り込み名作はメチャクチャに。架空の物語世界を舞台に図書館員たちの活躍が始まる。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480804396/


 設定がすごくおもしろい。舞台が夏目漱石の『こころ』なので、ちゃんと読んでおくべきでした。そうしたらもっと楽しめたかも。(読んだのが何分随分前のことなので、内容うろ覚えだった…)

 しかし、「話虫」はむちゃくちゃですね。『こころ』の中に作者を登場させたり、別の作家登場させたり、それどころか別の作家の作品のキャラ出しちゃったり。なんでもありですね。突拍子のなさに笑っちゃいました。
 でも「話虫」の気持ちはなんとなくわかるような気も。やりきれない系のラストの物語の場合は、こうなってれば良かったのに、と思うようなこともたまにありますし。お気に入りのキャラができれば、また思うところもできますし。二次創作みたいな感じなんですかね。作品そのものを変えちゃうっていうやり方はまずいですが。
 どうなることかと思ったラストでしたが、すっきりと上手くまとまってほっとしました。新たな物語の誕生か。そちらもおもしろそうです。


★読んだのは単行本でした。こっちの装画も好き。(装画:丹地陽子)



★『こころ』は青空文庫で読めます。

こころ

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