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法月綸太郎『キングを探せ』

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装画:遠藤拓人

奇妙なニックネームで呼び合う4人の男たち。なんの縁もなかった彼らの共通項は“殺意”。どうしても殺したい相手がいる、それだけで結託した彼らは、交換殺人を目論む。誰が誰のターゲットを殺すのか。それを決めるのはたった4枚のカード。粛々と進められる計画、完璧な交換殺人を目論む男たちに、法月警視と綸太郎のコンビが挑む!
(引用元 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000213182


 初めて読むシリーズですが、とてもおもしろかった。
 最初から犯人はわかっている状態で話は進み、かつ探偵役が推理をする前から大体の犯行もわかっているので、法月警視や綸太郎の推理の穴もこちらからはよくわかる。その的の外れた推理に「ああ惜しい!」なんて思いながら読んでいたんですけども、読者であるこちらも完全に騙されてました。法月警視と同じミスをしていたとは。「キングを探せ」というタイトルはほんとに重要ですね。

 ミステリーで先入観を持つのはよくないとは思っているんだけど、やっぱり見たものをそのまま捉えてしまう。若干途中から警察側に有利になった感じはあったけど、綸太郎の推理力には恐れ入りました。残ったトランプからあそこまでわかっちゃうなんて。ほんと鮮やかでした。最後のトランプと被害者の一致の指摘にはなんか感心してしまった。すっきりとした読後感でした。
 しかし、犯人たちがトランプさえ残さなかったら、余計なことさえしなかったら、完全犯罪が成立したのではなかろうか。綸太郎も難しかったかも、と言っていたし。


★単行本も好き。読んだのは単行本でした。ノベルス版も貼っておきます。表紙の違いがなんかおもしろいです。