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貴志祐介『鍵のかかった部屋』

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元・空き巣狙いの会田は、甥が練炭自殺をしたらしい瞬間に偶然居合わせる。ドアにはサムターン錠がかかったうえ目張りまでされ、完全な密室状態。だが防犯コンサルタント(本職は泥棒!?)の榎本と弁護士の純子は、これは計画的な殺人ではないかと疑う(「鍵のかかった部屋」)。
https://www.kadokawa.co.jp/product/201202000261/

 貴志さんの作品を読むのは初めて。最近は色んな作家さんを読んでみようと開拓してるんですけど、また読む順番を失敗してしまいました。途中でもしやとは思ったんですが、やはりシリーズものだったようで。なんでもシリーズ3作目だとか。

 短編が4編収録されてます。どれも密室のトリックを推理するというもので、読んだことのないタイプで楽しめました。密室のトリックも凝ってたし。犯人はわかってるようなものだけど、なかなかトリックがわからず、むずむずしたり。
 弁護士の青砥と防犯コンサルタントの榎本が推理役。ほとんど榎本の担当のようなもので、青砥弁護士の方はちょっと天然というか素人目線な感じでしょうかか。二人ともいいキャラだと思う。

 事件はラストだけコメディ調。キャラの掛け合いも飛んでるというか、言っちゃっていいの!? みたいなことを言ってたりして、少し笑ってしまった部分も。作中のキャラのギャグはあまり笑えませんでしたけど、最初の3つが殺人の動機が陰惨なものだったからか、ラストの話が口直し的な感じになったような。殺人の経緯があれなだけに、やっぱり他の3つとは違いますね。ラストもなんだかしんみりしていて。色々印象的。個人的に表題作の「鍵のかかった部屋」は悲しかったです。家族愛、兄妹愛というか。あの動機はよくある動機だけど、ほんとなんともいえない動機だよなあと思う。
 おもしろかったので、前作の2作も読みたいです。

 

収録作品
 佇む男
 鍵のかかった部屋
 歪んだ箱
 密室劇場

 

○単行本