文字を食べる

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いしいしんじ『ぶらんこ乗り』

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ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。――天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて……。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。
(引用元 https://www.shinchosha.co.jp/book/106921/


 天才の弟を持った女の子が語り手のお話。おばあさんが見つけた1冊のノートを見て、子どもの頃を振り返るといったもの。その中には弟や両親にふりかかる不幸の話などもありました。
 この話の中の弟にとって姉は守るべきものであって、姉が意識していなくても弟にとっては、その姉の存在が自分をこの世に繋ぎとめていてくれると考えていて、うまく言葉にできないけどなんかすごい絆がそこにはあるような気がします。
 別に特別悲しい場面があるわけじゃないんだけど、後半で泣かされました。雰囲気が寂しいというか。語りがそういう雰囲気を出してるような気がします。伝言板代わりの犬・指の音がいい味を出してました。あの犬の存在は大きいと思う。
 読後に残る余韻がよかったです。読了後に本を見て、しみじみ良い表紙だなと思いました。


★単行本の表紙も好き