文字を食べる

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恋愛小説いろいろ

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 恋愛小説の読書記録をまとめました。どれも短めです。そして古いです。

※読了順

 

恋愛小説いろいろ

片山恭一世界の中心で、愛をさけぶ

高校2年生の朔太郎と、恋人のアキ。アキの死から、物語は始まる。ふたりの出会い、無人島への旅、そしてアキの発病、入院……。最愛の人を失うとは、どういうことなのか。日本中を涙させたラブストーリー。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09408097


 読んだのは単行本。表紙の写真が素敵&タイトルが気になったので手にとったもの。
 帯には感動! 泣ける! などと書かれていましたが…。人による(読んだ人の年齢でだいぶ感想わかれるのでは?)、というか現実的なことを考えちゃうとダメな気がする。
 ものすごくざっくり書くと、病気になった彼女に彼氏が葛藤するという話。主人公の朔太郎の心情はなんとなくわかりますが、他の人達の心情はよくわからなかった。文章は読みやすかった。


★装丁は単行本が好き

 


★漫画版

★その昔、映画館で見た。原作をはちょっと違っていた覚えが…。泣いている方が多くて、つられて泣いた記憶があります。

世界の中心で、愛をさけぶ

世界の中心で、愛をさけぶ

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 



 

野島伸司ストロベリー・オンザ・ショートケーキ

 ショートケーキはイチゴから食べる派です。
 テレビドラマのノベライズ。その昔、友達の間でドラマが話題だったので読んだもの。ドラマとの差異はあまりないようです。淡々とした空気は割と好き。読みやすかったです。赤と青という2つの色が印象に残りました。

 

 

 

大崎善生『ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶』

木漏れ日のように温かな出会いを決して忘れない――。静謐な調べを奏でる恋愛短編集。
https://www.shinchosha.co.jp/book/126572/


 この著者の作品を読むのはこれが初めて。
 4つの短編が収録されていて、すべての主人公が女の子。どの主人公にも共通した部分があったように思う。たとえば孤独だったり、だとか。
 現実味があんまりなくて(※読了当時)、物語の中に入り込みにくいところがありましたが、淡々としているので読みやすい文章でした。全体的に白とか青っぽいイメージがある。「容認できない海に、やがて君は沈む」が1番好きかもしれない。タイトルの感じとか。
 ちなみにドイツイエローとは、グッピーの品種の1種のようです。


 

 

大崎善生『九月の四分の一』

"世界一美しい"と言われる石畳の広場でひとり途方にくれていた。逃れるようにして辿り着いた場所で君と出会った。失ったはずの大切なものを僕は取り戻し、君はあいまいな約束を残して、追われるように姿を消した…。表題作ほか三篇。失われたときの痛みとぬくもり心のゆらぎを紡ぐ著者初の短篇集。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784104594016


 恋愛短編小説集。どの短編にもイントというか核みたいなものがあって、チェスだとか将棋だとか歌だとか小説が軸になって物語が進んでいます。主人公たちは皆何かに熱中していて、それを終わらせたり諦めかけたり、そんな中恋愛をしている。全体的に過去を回想する構成になっていて、主人公はいずれも40代の男性。全く別の設定なんだけれど同じ糸で繋がっているような流れでした。ノスタルジックでなんだか切なかったです。

 個人的に、「悲しくて翼もなくて」が好きです。タイトルと同じ言葉を使った詩が出てくるんですが、静かに淡々と語りかけてくるような詩がたまらなかったです。これを作った女の子が、主人公を想って作ったものなんでしょうね、きっと。

収録
 報われざるエリシオのために
 ケンジントンに捧げる花束
 悲しくて翼もなくて
 九月の四分の一


 

いしいしんじ『トリツカレ男』

この世でいちばんペチカをおもってるのは、トリツカレ男のジュゼッペ、このおれなんだ。せつなくまぶしい、まじりけなしのラブ・ストーリー
https://www.shinchosha.co.jp/book/106923/


 「トリツカレ男」という題名を見て、最初は幽霊関連の話なのかなあと思ってましたが、全然違ってました。一つのもの(こと)しか頭の中に入らなくなるってことなんですね。熱中するというか、夢中になるというか。

 ジュゼッペはなんでこんなものにハマるのかわからない、というようなものに夢中になったりする、少し変わった人。だけど、この人は何にとりつかれてもそれに一生懸命。なので、読んでいる最中は私も街の人になったような心境でした。「おーい、ジュゼッペ。今度は何にとりつかれてるんだい」って。好きになった人のためならなんでもできるというジュゼッペの姿勢は呆れるを通り越して尊敬する勢いです。目頭も熱くなるってもの。ジュゼッペにもそうなんだけど、彼を心配するハツカネズミやタタン先生を思うペチカにも。
 一度読み始めたら止まらない。どっぷりとそのストーリーの中に入り込んでました。心が温まる話でした。

★単行本

トリツカレ男

トリツカレ男

 



 

江國香織『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』

いろんな生活、いろんな人生、いろんな人々。とりどりで、不可解で。江国香織初の書き下ろし短編小説。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784834250619


 タイトルに惹かれて読みました。
 そのタイトルである泳ぐのに、安全でも適切でもないのは「人生」。江國香織さんの本はあまり読んだことはないのですが、『つめたいよるに』とは全然雰囲気が違うなあと思いました。どこが違うかというのは言葉にしづらいのですが。

 この本の中の主人公は全て女性。恋愛の1場面を切り取ったような話。その中で主人公たちは精一杯愛に生きてます。だからなのか、なんか不安定のようにも感じ、また仄かに寂しい雰囲気も漂っていました。所々に散りばめられている主人公の愛し、愛した男性たちを表現(形容)する言葉が好きです。
 話としては「サマーブランケット」「犬小屋」が好きです。この2編は収録されている他の短編とはなんか違うような気がします。「犬小屋」はおかしいくらいだし。女性の男性への重い愛が男性にあんな行動をさせたのでしょうね。どきりとさせられます。


★単行本(ホーム社



 

片山恭一きみの知らないところで世界は動く

ぼく、恋人のカヲル、友人のジーコが交錯する、愛と死の物語。かつて誰にでもあった、少年少女最後の時代を過ごす3人の奇妙な恋愛模様を軸に綴られる、読むたびに胸の熱くなる70年代青春ストーリー。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09408135


 「世界の中心で~」の方のデビュー作品らしい。どことなく主人公のぼくとカヲルの関係は「世界の中心で~」の朔太郎とアキに似ています。それで、やっぱり病気が…。
 「世界の~」と似てるものはあるけれど、どちらかといえば私はこっちの作品の方が好き。やっぱりコージこと、ジーコという青年の存在が印象強かったからかもしれない。自分の思ったとおりに生きている彼はすごいし、羨ましいとか思ってしまう。主人公のぼくやカヲルがどんな風に彼のことを思っていたのか、もっと書いてあったらよかったのになあと思う。だって、あれはあまりに突然だったし、ショックだったから。

 片山さんの本はまだ二冊目だからなんともいえないんですけど、この方の話の登場人物って文学少年少女というか、知的な人が多い気がする。他のもそうなんだろうか。


★単行本。表紙の写真がきれい。