犯罪を犯し警察に追われる放蕩息子を案じて別れた妻の家を訪れた男が見たものは、睡眠薬の瓶と電気鋸、そして大きなダンボール箱二つ……。切れ味鋭いホラー小説集。
(引用元 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167278168)
解説を見れば、収録されている短編のことがほとんどわかります。なので、解説・後書を先に読んでしまうという人は気をつけた方がいいかも。
どの短編も読んだ後に余韻が残る。後を引く、というか話の中で物語に決着が付かないものが多くて、話の後に何か起こっているのではないか。起こるのではないか。と、そんな暗示があります。読者が結末を想像することができます。
まず、登場キャラの背景、それに至るまでの経緯、話のオチを想定するための材料が話の中にあります。だから、読んでいる最中に「次はこうなるのかな」「もしかして…?」なんて思ったりするわけですが、そんな些細な予想を覆してしまうものも多かったです。どんでん返しというか。それにあたると思われるのが表題作の「箱の中」や「死んだ女」なのですが、「箱の中」では深読みはいけませんね。――睡眠薬の小瓶、大型の電気鋸、2つの大きなダンボール箱。そんなものが用意されているとなれば、行き着く先は限られているように私は思うのですけど。あのまま行くと、放蕩息子の未来はなさそうです。