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朝吹真理子『きことわ』

きことわ (新潮文庫)

きことわ (新潮文庫)

貴子(きこ)と永遠子(とわこ)。葉山の別荘で、同じ時間を過ごしたふたりの少女。最後に会ったのは、夏だった。25年後、別荘の解体をきっかけに、ふたりは再会する。ときにかみ合い、ときに食い違う、思い出。縺れる記憶、混ざる時間、交錯する夢と現。そうして境は消え、果てに言葉が解けだす──。やわらかな文章で紡がれる、曖昧で、しかし強かな世界のかたち。小説の愉悦に満ちた、芥川賞受賞作。
(引用元 https://www.shinchosha.co.jp/book/125181/


 芥川賞受賞作品ということで、どんなものなのだろうと思って読んでみました。
 雰囲気がよかった。淡々としていて、時間の流れがゆっくりと感じられる感じ好きだ。文章もとても美しいです。情景が鮮明に脳裏に映し出されるようでした。メイン二人の関係性も好き。
 タイトルにもなっている貴子と永遠子が久しぶりに再会し、過去のことを振り返ったり、2人の思い出が交錯したり、という話なのですが、話の中のこの一文が印象に残っています。

会わずにいても会えばよいだけで、会わないでいた二十五年間も、会うためのひとつの準備であったのかもしれなかった。


 話の中のひとつの場面に、電車の通過する踏切に近づこうとしていて永遠子のあるはずのない長髪を引っ張って助けた、というのがあったけど、あれはやっぱりありし日の貴子だったのだろうかとか思ってみたりして。


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