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宮部みゆき『チヨ子』

チヨ子 (光文社文庫)

チヨ子 (光文社文庫)

5年前に使われたきりであちこち古びてしまったピンクのウサギの着ぐるみ。大学生の「わたし」がアルバイトでそれをかぶって中から外を覗くと、周囲の人はぬいぐるみやロボットに変わり――(「チヨ子」)。表題作を含め、超常現象を題材にした珠玉のホラー&ファンタジー五編を収録。個人短編集に未収録の傑作ばかりを選りすぐり、いきなり文庫化した贅沢な一冊。
(引用元 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334749699


 ホラー、ファンタジーを集めた短編集ではありますが、どれも違ったタイプで読後に思うことはあれど、楽しく読めました。色々とはっとさせられることも多かったです。

雪娘

 事の真相は読めていたけど、雪娘が現れる件はなんともいえない不気味さを感じました。怖いものではないのかもしれないけど、主人公の目には見えないという点がまた…。

オモチャ

 寂しくて悲しい話でした。人の口に戸は立てられないと言いますけど、勝手に一人歩きする噂って怖い。何をするわけでもなく佇むおじいさんの幽霊と、それを目撃した父娘の反応が印象的。かつて賑わいを見せたという商店街の店が一つ一つ閉じていく…という終わり方も一抹の寂しさを感じ覚ませます。

チヨ子

 これは他と違ってほんわかした話でした。とある着ぐるみを着て周囲を見たら、街を歩く人がみんなぬいぐるみやらロボットに見える。それはかつて自分たちが大事にしていた玩具だったりするのですが、面白い発想だなと思いました。私は何に見えるだろうか、と少し考えました。ほんわかする話の中で、背中に黒い良くないものがついたという親子の件はちょっとドキッとしました。

いしまくら

 「オモチャ」同様噂がモチーフになってるような話。ホラーというかなかなか恐ろしい要素もあるんですが、ラストがとても爽やかでした。読後感もいい。途中の自転車を二人乗りする男女の描写も爽やかで楽しげで、そういう怖い面を和らげてくれたような気もします。

聖痕

 いきなり神だのなんだの言われた時にはなんて中二病なんて思ったりもしましたが、そんな言葉で片付けられない深く難解な話でした。現代の病みたいなものに切り込んでるというか。色々と複雑な話だったので読むのに手間取ってしまいました。個人的に後味悪かったです。これ、ほんとに救われたのかな。