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皆川博子『開かせていただき光栄です DILATED TO MEET YOU』

装画:佳嶋

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が……解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくときに哀しい不可能犯罪に挑む。
(引用元 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000009299/author_MAgyo_MI_4071/page1/disp_pc/


 すごく面白かった。二つの視点から描かれる話、二転三転する事件。なかなか真相に辿り着かず、続きが気になってしまい、一気に読みました。舞台設定も個人的にはすごく魅力的で、18世紀ロンドンの雰囲気がぎゅっと詰まった話にぐいぐいと引き込まれました。海外の翻訳小説のようでした。もっとこの時代の知識があったら、より楽しめたのだろうなあと思う。

 当時悪魔の所業とされた解剖学。そんな解剖がメインに据えられており、遺体もたくさん・生々しい描写もしっかりあったけど、あまりグロさは感じなかったです。個性的なバートンズがいたからこそ漂うのか、ユーモア感がたっぷりで。ブラックジョークもぴりっと効いていて、思わずくすりとしてしまう場面もありました。

 結末はしっかり二人の役者に騙されました。でも、真実が違っていて正直ほっとした。あまり考えたくない結果だったので。守られるべきものは守られ、この事件を考え出した犯人が出したかった結果になったということで、ある意味ハッピーエンドなのですが、もの哀しいラストでした。完成されていなかった解剖ソングに付け足されたZの歌詞がまた…。エドとナイジェルの2人の詳細が非常に気になります。彼らが去ったのちの生活も。

 しかし、この耽美で雰囲気ある複雑なミステリーを描いた作者が齢80だとか。(読了当時)それにとても驚きました。精力的な方なのだなあ。すごい。前に読んだ作者の本も好みだったので、また色々読みたいですね。


★以前読んだ本。すごく好き。

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

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