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恒川光太郎『夜市』

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第12回日本ホラー小説大賞受賞作

何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ裕司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた――。直木賞の候補にもなったホラー大賞受賞作!
(引用元 https://www.kadokawa.co.jp/product/200801000457/


 ホラーだと知らずに読んでいました。
 表題作ともう一編の2話収録。どちらも幻想的な話でした。現代ファンタジー要素もあるような。民話の世界みたいでもある。ヒトではないものの存在とかもそうですけど、話の中に流れる静かな空気が好みでした。ホラー苦手はそんなに得意ではないですが、こちらはすっと読めました。

 「夜市」は結末にびっくりしました。そう来たか! って感じ。すれ違いっていうのか、やっと会えたと思えたら離れなくちゃいけなくて、寂しい兄弟だったと思う。「風の古道」はレンという登場人物がすごく印象に残ってます。まあキーキャラだし、当然といえば当然なんですけど。そういえば、どっちの話でも、失ったものは結局取り戻せてなかったなあ。そう上手くはいかないということなのか。でも、そんな単純な話でもないような気もします。いろんな葛藤もありますし。どちらも完全なハッピーエンドとはいえませんが、どちらの話も好きです。物悲しい余韻がまた良いなあと思う。

 

【Renta!】夜市|恒川光太郎、奈々巻かなこ、秋田書店、ボニータ・コミックス