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真保裕一 外交官シリーズ

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 真保裕一著、外交官シリーズの読書記録をまとめました。

外交官シリーズ

アマルフィ

日伊共同開発事業の調印式でローマ入りする外務大臣を警護せよ。特命を受けた外交官・黒田康作在イタリア日本大使館に着任早々、大使館に火炎瓶が投げ込まれた。そんな折、母親と観光に訪れた日本人の少女が誘拐され、黒田は母親とともにアマルフィへ向かう。周到に計画を遂行する犯人の真の狙いとは?
(引用元 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000206160


 日本人が登場する外国が舞台の話、が読みたくて探していたときに出会った本。
 映画化された「アマルフィ」のプロットつくりに参加した著者自らがノベライズ。映画と違う点も多々あるようです。

 舞台はイタリア。最初は日本人の女の子が誘拐される、という事件だったはずが、誘拐犯に近づく度に犯人たちの真の狙いが少しずつ明らかになる。序盤は単調に感じたんですが、劇的な展開に途中からは息つく暇もなく一気に読みました。犯人たちの用意周到さ、計画の緻密さには舌を巻きました。この話のバックには軽々しく語ることはできない、政治的なものがあったのですが、うまいこと話に組み込んでるなあと思いました。主人公の今後の活躍を想像させるような、清清しい感じの終わりも良かったです。

 


★読んだのはこれ。単行本の装丁も好き。

 

 

★映画。個人的には小説が好き。

アマルフィ 女神の報酬

アマルフィ 女神の報酬

  • メディア: Prime Video
 


アマルフィについて
ja.wikipedia.org


 

『天使の報酬』

サンフランシスコで日本人女子大生・霜村瑠衣が失踪し、日本から駆けつけた父親の立ち会いのもと、アパートの捜索が行われた。外務省邦人保護担当領事・黒田康作も現場に立ち会ったが、当の父親は、娘の失踪理由を知っていて隠している様子が窺われる。瑠衣の容疑は、単なる窃盗ではなく、テロ準備罪?! 黒田が調べていくうちに、彼女の周囲には、日系ボリビア人や謎の日本人フリージャーナリストをはじめとする不審な人物の影がちらついていて、何人かの死亡者までいることが判明。ついに失踪事件の背後に隠されていた真実に辿り着いたとき、その重さに、黒田は愕然とする。国益を優先すべきか、邦人の命を守るべきか、黒田の苦悩はつきない。
(引用元 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000186491


 映画にもなっている『アマルフィ』で活躍した外交官・黒田が事件のために奔走する続編である長編。フジテレビのドラマの原作。

 前作『アマルフィ』はイタリアの広い街を舞台とした話で、イタリアの街の光景の描写がなんか新鮮だった覚えがあるのですが、今回『天使の報酬』の舞台は序盤と終盤の少しこそアメリカ(主にサンフランシスコ)だったものの、ほとんど日本でちょっとだけ物足りなさを感じました。黒田もほぼ日本でしたし。日本、アメリカ、ボリビア、タイ、フィリピン……と色んな国名が登場したり、巻き込んだり(というと語弊があるか)事件の概要とか見ても、スケール的には結構大きいような気はする。背後に外務省の役人やら何やらが絡んでいたり。

 日本が主な舞台だからか、外国が舞台だった前作に比べ、やはり黒田が警察の後手後手に回ってしまうことが多くて、読んでて少し歯がゆかったです。良いところにいっても先を越されちゃう、みたいな。あんまり書くとネタバレになっちゃうのであれですけど、なんというか虚しい事件でした。一人が間違った判断をしたために、関係ない人が命を落とした。他のドラマや小説なんかでも事件の隠蔽だのなんだのという話はありますが、やっぱりこういうのはなんだかなあと釈然としないものがあります。黒田は制限された中でうまくやっていたなあとは思います。前作でお馴染みとなったキャラも出たり、楽しく読めました。

 

★単行本

 
 
 
 

『アンダルシア』

ヨーロッパの小国・アンドラで殺人事件発生。外務省邦人保護担当の黒田は、アンドラからのSOSを受けてスペイン・バルセロナから現地に向かい、一人の日本人女性と出会う。彼女は何者なのか。ふくれあがる疑念とともに、黒田にも危険が迫る。
外交官は、どこまで捜査にかかわれるのか。自身のアイデンティティまで問われかねないぎりぎりの状況を切り開いていく黒田だが、そこには巧妙な罠が張り巡らされていた。
(引用元 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000186790


 「アマルフィ」「天使の報酬」に続く3作目。前回はあんまり世界が舞台って感じはしなかったのですが、今回の主な舞台はスペイン。アンドラ、フランス、スペインを又にかけた話です。

 一人の女性のタクシー代わりとなったことから、黒田は一つの事件に関わっていく。殺人事件、スパイ、偽造グループと周りの様々な事象が複雑に絡み合いながら、一つの線になっていくところは面白かった! ただ登場人物が多かったので、ちょっとややこしかったです。
 新藤結香の相手でもあった男の正体が判明したときは面食らってしまいました。でも、あとで見返してみたら、ちゃんと最初に登場してるんだよなあ。やっぱり登場人物が多いと覚えるのが大変だ。メモしながら読まなきゃ…。

 事件の顛末はしっくり来ないというか、なんだか消化不良にも感じたけど、あくまで主観。ラストの「日本人の安全と利益を守るだけではなく、誇りを守ることにも力を尽くしたい」といった黒田の台詞は、彼の行動をそのまま映したようで良いなあと思う。

 

★単行本

 

 


★アンダルシアについて
ja.wikipedia.org