裏道にひっそりと立つ「カフェ・フロリアン」。夜はゲイバーとなる店のママは前世がみえると評判で、毎夜、相談者が訪れるが…。前世の因縁と現世の謎を解き明かす、とびきりゴージャスな女装探偵の名推理。
(引用元 https://www.kadokawa.co.jp/product/321401000039/)
自分のいくつもの前世を思い出すことができるという、特殊な能力を持つゲイバーのママ・ショウとその店に集う前世絡みの悩みを持つ人々による、ちょっと不思議なミステリー。どの話も前世が見えるという能力をうまく料理していて、おもしろかった。文章も読みやすく、さくさく読めました。ショウのキャラ設定も良いですね。適度な距離感、気安さとか。
「キサブロー、帰る」と「また逢う日まで」は読み終わったあと、思わずほろりとしました。この本のラストが「また逢う日まで」なのがいいな、と思う。前世の記憶が見える、という設定の話なだけに、本当に(近いうちに)また逢えそうで。家族系の話にやっぱり弱いです。
「ロスト・ヴィレッジ」は怖い! 前世の自分と今の自分は違うのに混同させてしまうとこんなことが起こりうるのか…。記憶の錯綜具合とか、真相はある程度読めていたけど、読んでてドキドキしました。「僕が殺された日」はショウの語る事件の真実(かどうかはわからないけど)にほろり。「虐げられた男は逆襲する」は読んでて心が痛みましたが、最終的にハッピーエンドに落ち着いてほっとしました。
おもしろい設定の話だし、続編とか出ないかな。出たら読みたいなあ。ショウの推理もそうだけど、オヤジさんの活躍ももうちょっと見てみたい気がします。
収録
キサブロー、帰る
ロスト・ヴィレッジ
僕が殺された日
虐げられた男は逆襲する
また逢う日まで
★単行本