文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

東川篤哉『はやく名探偵になりたい』

  当サイトの記事には、広告・プロモーションが含まれます

人をイラつかせる無神経な言動と、いいかげんに展開する華麗な(?)推理。鵜飼杜夫は、烏賊川市でも知る人ぞ知る自称「街いちばんの探偵」だ。身体だけは丈夫な助手の戸村流平とともに、奇妙奇天烈な事件解決へと、愛車ルノーを走らせる。ふんだんに詰め込まれたギャグと、あっと驚く謎解きの数々。読めば読むほどクセになる「烏賊川市シリーズ」初の短編集。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334766764


 本の最後の既刊紹介でこの本が「烏賊川市」シリーズの最新作だということに気づきました。それっぽいとは思ってたけど、この作品以前にも結構出てるんですね。またやってしまったなあ。でも既刊読んでなくても十分楽しめました。短編集で一つ一つの事件の内容が短いですが、トリックも凝ってたし面白かった。表紙のキャラがそれぞれの話のキー人物になってるんですね。(※単行本)

 舞台である「烏賊川市」という名前が面白い。この著者のシリーズものは名前がおもしろいものが多いような気がする。そして話のところどころにあるネタに笑ってしまう。鵜飼と流平の漫才のようなやりとりもいい。機会があればすかさず犬を撫でようと必死な鵜飼がまたツボで。テンポがいいなあと思う。
 「藤枝邸の~」の話はオチも良かった。犯人、せっかくがんばったのに。こういう終わりもたまにはいいかも。「時速四十キロ~」「七つのビールケース~」は探偵たちが体張りまくりで、彼らが無事なことにびっくり。本格ミステリなはずなのに、ユーモアたっぷりで軽く読めて楽しいです。「宝石泥棒~」は視点に新鮮さを感じつつ、マー君の正体に驚きました。また先入観で読んでしまってました。

収録内容
 藤枝邸の完全なる密室
 時速四十キロの密室
 七つのビールケースの問題
 雀の森の異常な夜
 宝石泥棒と母の悲しみ


★単行本