文字を食べる

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谷崎潤一郎『陰翳礼讃』

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暗がりに潜む美を写し撮ったのは「気配を撮る名匠」と評される大川裕弘。『陰翳礼讃』の世界がより深く理解できるビジュアルブックです。
https://pie.co.jp/book/i/5012/


 ビジュアルが美しい。まさに「陰翳礼賛」。
 この本については知っていたが、読むのは初めて。また改めて読み直したいと思う。
 しかし、厠についてこんなに熱く語った文章を見たのははじめてだ。
 谷崎潤一郎っぽいなと思ったのは、日本人女性の体、暗がりでの見え方を言及していること。
 言われて見るとわかる~となるもの、なるほどわからんと思うもの色々で谷崎潤一郎の感性ってすごいなと思った。

 印象に残っているのは「羊羹」の色について。

 そう云えばあの色などはやはり瞑想的ではないか、玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光りを吸い取って夢みる如きほの明るさを啣んでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑さは、西洋の菓子には絶対に見られない
p101より


 あんまり気にしたことなかったけど、↑みたいに言われるとすごく美しいものな気がしてくる。