装画:中島梨絵
バツイチになったのを機に、学校司書として働きはじめた詩織。人には言えない秘密を抱える彼女のもとに、さまざなな謎が持ちこまれる。本にこめられた想いと謎を読み解くブックミステリー。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784575238235
おもしろかった。やっぱり本はいいなあと思った1冊です。
この本でも取り上げられてたけど、学校図書館の投げっぱなしにされっぷりはどこも同じなんでしょうか。私が通っていた高校はそんなに酷くはなかったけど、中学はひどかったもんなー。所蔵数はともかく狭いのなんの。適当な教室に本棚設置しました、みたいな感じで。若者の活字離れとか私が小さい頃から言われてたけど、学校が力入れてなきゃ、そうなるよなと思う。
と説教臭い・小難しいことは置いといて、主人公の詩織が図書委員の子たちと謎解きをしたり、ブックトークなどの催しをしたりと、その交流はほのぼのとしていて心温まりました。生徒さんたちの熱意がいいなあと思う。1冊の本との出会いで人生が変わった、という話を聞くことがあるけれど、この本に出て来る大隈くんもその一人ですね。図書委員になる前の彼からは想像つかない。詩織の今後の司書としての決意も、そんな彼らとの交流もあってこそなんだろうな。
物に宿る残留思念を読み取ることができる、という特殊能力を持っている彼女ですが、その能力も効果的に使われていたように思えるし、なかなかよかったと思う。個人的に「小さな本のリタ・ヘイワース」が好きです。
作中に出てきた『旅をする木』、『小さな本の数奇な運命』が気になるのでまた読んでみたいです。
章タイトル好き。
内容
司書室のキリギリス
本の町のティンカー・ベル
小さな本のリタ・ヘイワース
読書会のブックマーカー
図書室のバトンリレー
↓著者によるブックトークが読める。
http://www.f-bungei.jp/kirigirisu/
○単行本