文字を食べる

読書備忘録ブログです。

MENU

風野真知雄『隠密 味見方同心』シリーズ 読了記録

f:id:mogumogu101:20210227191101p:plain

 風野真知雄の『隠密 味見方同心』シリーズの読書記録。
 読書期間:2017年8月10日~2018年1月28日
 料理が出てくる小説が読みたくて読みました。ちょっと変わった料理が出てくる捕物帖。この料理の味気になる、という感想ばかりです。

 装画:宇野信哉

 

風野真知雄『隠密 味見方同心』シリーズ

『隠密 味見方同心1 くじらの姿焼き騒動』

南町奉行所きっての腕利きと噂される臨時回り同心・月浦波之進に特命が下った。「江戸の食いもの屋の動向を探れ」と。調べに必要な飲み食いの掛かりは、すべて請求できるという。十手を羽織の下に隠し、隠密捜査を始める波之進。―その折、金貸しが殺された。生前にその男が告げたある料理。波之進は、その料理を手がかりに、下手人を捜す。謎をはらんだ珍妙な食物が次々登場。軽妙洒脱、仰天推理の傑作時代小説開幕!
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212018

 「美味の傍には悪がいる」味見方同心という役職について月浦波之進(見目よく、かしこく頭が切れる)。
 江戸の豊かな食文化の中にはびこる悪というか、事件の謎を解いていく捕物話。
 読みやすく、おもしろく、一気に読んだ。禿げそばとか鍋焼き寿司とか、話の中心になっている食べ物が興味深かった。おいしいのかな? しかし、ラストで主人公と思っていた波之進がまさかの退場…。驚いた。確かに弟の魚之進の一言がきっかけで何かをつかむ…という展開もあったけど。続き気になる。

『隠密 味見方同心2 干し卵不思議味』

月浦魚之進が、殺された兄・波之進。の跡を継いで、同心になった。だが、兄と比べて、すべてが劣っている。皆からも「大丈夫か?」と、心配されながら、魚之進は仕事に励む。兄が残した謎の言葉。「美味の傍には悪がいる」そして、最高にうまい食べものとはなにか?それと、兄の殺しは関係あるのか。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212035


 前回ラストで何者かによって殺された兄・波之進の後を継ぎ、味見方同心になった魚之進。兄と比較されてきた魚之進だけど、彼らしい着眼点と行動で事件を解決していく。場数踏めば、いい感じになるのでは? 容姿にコンプレックスがあるらしく、とある事件の犯人の発言にちょっと笑ってしまった。
 作中に登場する「ふんどし豆腐」「天狗ちくわ」「干し卵」「うどんの天ぷら」…。どれもお味が気になる。1巻もちゃんとメモしておけばよかった。
 干し卵は鉄卵というみたいだけど、本当においしいのかな。この話はなんかじんわりに胸にきた。

『隠密 味見方同心3 幸せの小福餅』

兄、波之進の四十九日が来た。どんなに賑やかな法要でも、魚之進の心には虚しさばかりが募った。波之進と死に別れた兄嫁のお静が、大福餅ならぬ小福餅を買ってくる。大きな福をのぞまなくても小さな福がいっぱい訪れるのと祈願するのだという。美味の傍には悪(わる)がいる―殺された兄・波之進の謎を探して、魚之進は菓子屋の隠密捜査に着手する!
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212036


 波之進が食べたという「この世のものならぬごちそう」ってなんだろうな。たぬき寿司小福餅に、冷やし沢庵おでん(くじのような)…。今回も一風変わった料理がでてきて、そこに繋がる事件がおもしろかった。
冷やし沢庵の話にでてくる「ごはんとみそ汁と沢庵」だけあればいいっていうのは真理だと思った。あまり高いお金は払いたくなけど、おいしそうだった。
 そういえば、何かと協力的な波之進の嫁だったお静さんだけど、子もいないし、今後どうするんだろう。同心の上の人たちもどうなってんだ? 魚之進が心配になってくるな。
 魚之進を「のこぎり」にたとえるの、なんか納得した。

『隠密 味見方同心4 恐怖の流しそうめん

料理自慢の坊主が、「がんもどき」ならぬ「つるもどき」という料理をつくったらしい。魚之進がその寺を訪ねると、すでに坊主は殺されていた。兄・月浦波之進が死ぬ前に言い残した「この世ならぬ」料理とは、精進料理のことではないのか?
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212163


「つるもどき」「へったれ漬け」「ちくび飴」「怪談そうめん」
 今回も愉快な食べ物がでてきておもしろかった。鶴って食べるんだなあ…。当時は禁じられていたみたいだけど。勉強しなくちゃ。
 波之進殺しの核心にはなかなか迫れないけど、丸山の動きが気になる。お静さんの「誰かに見られている気配」はいろいろと心配だったけれど、一応解決してよかった。彼女の存在はとても心強いけど、いつまで月浦家にいるのだろう。
 頼もしいといえば、麻次はすごくいい人だなあ。
 続きも楽しみ。

『隠密 味見方同心5 フグの毒鍋』

目の見えない板前が作りやくざが食べる、危険なフグ鍋の噂がある。度胸試しで無事に食えたら親分として認められるというのだ。食い物関係は味見方の範疇だとして、人一倍気弱な魚之進は意地悪な先輩同心に、やくざ連中の捜査を押しつけられてしまう。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212270


 馬鹿弁当、フグの毒鍋、イカタコ煮、なみだ酒。
 毎回おもしろい食べ物、よく思いつくなあ。
 なにかと魚之進に助言してくれる北谷道海。どうも悪いやつには思えない。何者なんだろう。イカタコ煮」に出てきた死体の描写がグロというかすごく不気味で思わず、ひぇってなった。2つの死体。腹が開かれ、相手の切り取られた足が入っている…。
 この巻でついに魚之進がお静さんを好きだと自覚。どうなるんだ!? 魚之進はいいやつなんだけどね…。

『隠密 味見方同心6 鵺の闇鍋』

謎の食材に、殺しの匂い。兄の仇を取るまで、魚之進の隠密捜査は終わらない。大人気江戸グルメ捕物帖第6弾猫の尻尾や人の目玉も入っていたことがあるという、蘭方医学塾のゲテモノ闇鍋会で殺しが発生。下手人は真っ暗な中で鍋を囲んでいた塾生の中にいるはずと、魚之進は鍋に残った得体の知れない肉を嫌々毒味するはめに。真相に近づく魚之進の命を正体不明の悪党が狙い、江戸の食と悪を巡る謎はますます深まる!
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212417


 「紅黒豆腐」「鵺の闇鍋」「天狗卵」「おかまうどん」
 6巻目にして魚之進の意外な特技が明らかに。魚之進、走るの早かったのか。すごい! 「天狗卵」では犯人追いかけて、ガッツがあることを見せつけてくれました。
 今回で、この世ならぬ食べ物にぐっと近づいた感。フォークで食べるものかあ。この時代のケーキはどんなものだろう? それにしても丸川は…。自害ってちょっとずるい感じもするなあ。
 今回もおもしろかった。紅黒豆腐、ちょっと食べてみたい。

ちなみに「鵺」ってこんなの。
ja.wikipedia.org

『隠密 味見方同心7 絵巻寿司』

魚之進を襲った同心・丸川重三郎は謎の自死を遂げる。重三郎は自決の裏事情を知っているかの如く、南町奉行・筒井和泉守は抜け荷捜査の強化を部下たちに速やかに指示した。兄の死の真相に近づく魚之進の行く手を、珍料理を巡る難事件が阻む。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212543


 「絵巻寿司」「甘辛納豆」「まぐろの千切り」「幽霊酒」
 幽霊酒にでてくるお店のからくりがおもしろかった。船で酔わせるか…。
 美味の傍の悪にすごく近づいてきた感のある巻だった。バニラかあ。今ではさほど珍しいものではないけど、当時としては珍しいよなあ。そりゃあ謎の味だ。
 おふくの正体は一体なんだろう。
 「ケイク」を食べさせてくれるという河内山。この人、あんまり悪い印象はないけど、魚之進がちょっと心配だ。続きが気になる。

『隠密味見方同心8 ふふふの麩』

江戸の味を知り尽くした、あの人気料理人も驚愕の面白さ。「料理は無限である。読む程に空想の味を再現したくなった」―つきぢ田村三代 田村隆。僧侶となって正体を隠す伝説の大悪党・河内山宗俊に強引に連れて来られた超高級料亭・百川。そこで魚之進は兄が遺言に残した「この世のものとは思えないほどおいしいもの」―ケイクをついに口にする。ケイクを作らせた主は誰なのか?
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212650


 「化け物そば」「ふふふの麩」「似たもの鍋」「忍者寿司」
 波之進殺しの犯人にかなり近づいてきた。多古山は関係者か?
 危険察知能力の高い魚之進。おかげで危機一髪! 棒手裏剣は危ない…。
 それにしても、ケイク。月浦家の皆さん切ない…。おいしいものだから家族に食べさせたいと思う波之進の心情を思うと…。
 次で最終巻ということだけど、気になるなあ。前に違うと言っていたけど、中野石翁が犯人じゃないのは意外だったな。水戸か…。
 今回の料理だと「似たもの鍋」が食べてみたいと思った。

『隠密 味見方同心9 殿さま漬け』

兄・波之進を殺害した下手人を追って浮かび上がってきたのは、かの御三家水戸藩。そんな大物が相手では、兄貴の仇はもう諦めるしかないのか……。大川に身投げしたいほど落胆する魚之進に、吉原で殺しの報が入る。傷心の心持ちで、遊女たちに聞き込みを始める魚之進。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212777


 「串刺し大福」「海苔巻きうどん」「梅干し饅頭」「殿さま漬け」
 表紙は「串刺し大福」の話の中で吉原餅探してたときのかー。
 今回で最終巻。魚之進の活躍をもう少し見たかったような気もする。でも、兄の敵の正体をつきとめ、敵を討ち、お静さんに思いを告げ…大団円といった感じの良い最終巻だったと思う。
 お静さんは彼の思いになんと答えたのだろう。まあ、魚之進の反応からすると…。
 敵討ちの日が波之進の命日だということに、ぐっときた。おもしろかった! 贅沢な漬物「殿さま漬け」食べてみたい!



 新シリーズは確か1巻は読んだはず。調べたらこんな特設サイトが。
 実際に作ってみた、すごいな。美人の歯型がついた歯型豆腐。どんな美人さんのものなんだろう。
kodanshabunko.com