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浅田次郎『壬生義士伝』上・下

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第13回柴田錬三郎賞 

 

「死にたぐねえから人を斬るのす」新選組で、ただひとり庶民の心を失わなかった吉村貫一郎の非業の生涯を描く浅田次郎版「新選組
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167646028


 映画化もされている作品。「新選組」はなんとなく知っていますが、吉村貫一郎という名前はこの作品を読むまで聞いたことがなかったので、恥ずかしながら架空の人物を主人公にしているのかと思ってました。実在した方らしいですね。
 吉村貫一郎と関わりのある人物たちが、彼について語る、という形式で書かれた物語。誰に語っているのか、誰がなんのために吉村のことを尋ねて回っているのかは、今の段階でははっきりしてません。
 わかるのは彼の人柄。(文武両道であの人柄は反則かと。ほんとに「良い人」です。家族思いですし)そして、そんな彼を新選組の面々がどう思っていたかなど。
 登場人物のキャラクターが一人一人立っているのがよかった。人間臭さもいい。生きるために人を斬るという言葉がなんか重いなと思いました。続きが気になります。

 よかったです。おもしろかった!
 ぐいぐい話に引き込まれました。吉村に関わった人々からクライマックスに向けて明かされるエピソードたちと吉村本人のエピソードが上手い具合に絡み合っています。

 壬生義士伝の義士はやっぱり吉村のことで良さそう。吉村だけではなく、作品の中に登場する様々なキャラがきっと「義士」だったのだと思います。不器用だけれど皆まっすぐでした。
 話の中で光るのは色んな愛ですが、とりわけキラキラ光っていたのは主人公でもある吉村貫一郎の家族への愛だと思います。この人の家族への愛がどれほどであったか言葉で表現するのは難しい。そりゃあもう大きなものでした。きっとこの想いというのがこの作品の大きなテーマの1つなんだろうな。また、息子の嘉一郎の父への想いも読んでてほんと切なかった。自然と泣いてました。吉村と土方のお国自慢も切なかったです。
 大切なことを教えてもらった気がする本でした。

壬生義士伝

壬生義士伝

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video