装画:合田ノブヨ
あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。ほかの家族が殺されたこの屋敷で、姉のコニーと暮らしている……。悪意に満ちた外界に背を向け、空想が彩る閉じた世界で過ごす幸せな日々。しかし従兄チャールズの来訪が、美しく病んだ世界に大きな変化をもたらそうとしていた。“魔女”と呼ばれた女流作家が、超自然的要素を排し、少女の視線から人間心理に潜む邪悪を描いた傑作。解説=桜庭一樹
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488583026
ネットの口コミで気になって手にとった本。話には聞いていたけど、この可愛らしいメルヘンチックな表紙とタイトルみて中身が恐怖小説だなんて思わないよなあ。表紙詐欺と思わないでもないけど、本読んでから改めて見るとすごくしっくりするような気もする。
悪意と狂気ばかりで読んでて不快感がすごかった。メリキャットたちに対する村の人たちの態度が嫌だったし、現実と空想をごっちゃにしたようなメリキャットもなんかちょっと…(その純粋さが怖い、というか)って感じで、好きになる要素なんてほとんどないのに、なぜかぐいぐい引き込まれ、全部読んでしまいました。
繰り返し書かれる(作中で歌われる)「メリキャット、お茶でもいかがとコニー姉さん」「とんでもない、毒入りでしょうとメリキャット」のフレーズが印象に残ります。このブラックウッド家の事件の真相は引っ張ってたわりにさらっと告げられたような気がします。
不思議な魅力がある本でした。作者の別の本も好奇心で読んでみたい。