「あのね、彼……死んだの、車にはねられて」遺書ともいえる言葉を残し、マリは恋人武夫のあとを追い自殺した。可哀相なマリ……。そういえばマリは、彼のいない人生なんて生きる価値がないって、いつも言ってたっけ……。だが、死んだ筈の武夫は生きていた。そして、天国へ行ったマリが一人では寂しいと招きよせるように、武夫のまわりで次々と起こる謎の殺人事件! 表題作「さびしがり屋の死体」ほか、実力派赤川次郎が、趣向をこらしたミステリー四編を収録。
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短編集。どれも読みやすかったです。オチがすぐにはわからず、事の顛末が2転3転するのが面白いです。
さびしがり屋の死体
表題作。友情の話。男がちょっと酷いですね。やり方が汚いんです。でも、殺人の動機としてはよくあるのかも。犯人が意外な人でした。あの人は自首したんでしょうか。それとも…。刑事さんを応援したいです。失恋…(笑)
長き眠りの果てに
なんか怖かったです。一番ホラーっぽいかもしれません。狂気というか。作中でも「狂ってる」みたいなこと言ってる人がいたような気がします。背景設定がまたミステリアスな雰囲気を出してるように思います。刑事さんの執念も怖かったし、家族の確執(っていうのかな)も恐ろしかった。最後は皆死んじゃったんですかね。
死が二人を分かつまで
この短編集の中で一番難しかったような気がします。題名が好きです。ラストで女主人公がこの題名を言う台詞があるんですが、なるほどなあと思いました。この主人公はきっと犯人が罪を償って帰ってくるのを待っているんだろうなあ。
できごと
誰も人は死にませんでした。まあミステリーだからって人が死ぬとは限りませんよね。舞台は他と違って学園もの。親子の愛情も光れば、曲がった愛情なんかも。うちの子一番! な考えはわかるんですが、他の子のことだって考えなくちゃいけませんよね。
でも、こういう事って現実でもありそう。だけど受験生が主要登場キャラなだけあって、甘酸っぱい部分もありました。青春だなあ。でも、事件はちょっと生々しい感じもします。犯人は割りと簡単に想像つきました。オチも結構楽しかったです。優等生の女装?(笑)
三人家族のための殺人学
話自体はそんなに怖くないのですが、世の中わからないものだなあと思います。オチが怖いです。考えると肌寒くなります。殺すだの殺さないだの険悪なムードの両親は、娘の前では仲の良いフリ。その両親ってのが殺し屋稼業なものだから洒落になりません。色々な苦難を乗り越えてそんな両親も仲直りするのですが…。
娘もちゃんと見てたってことなんでしょうかね。すごく腹黒かったです。…小学生なんですよね。ずっとあれを計画してたのかなあと思うとほんと怖いです。
★双葉文庫版。読んだのはこれ。