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深緑野分『戦場のコックたち』

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装画:民野宏之

合衆国陸軍の特技兵(コツク)、19歳のティムはノルマンディー降下作戦で初陣を果たす。軍隊では軽んじられがちなコックの仕事は、戦闘に参加しながら炊事をこなすというハードなものだった。個性豊かな仲間たちと支え合いながら、ティムは戦地で見つけたささやかな謎を解き明かすことを心の慰めとするが。戦場という非日常における「日常の謎」を描き読書人の絶賛を浴びた著者の初長編。解説=杉江松恋
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488453121


 分厚く、二段組の構成に最初は慄きましたが、続きが気になりすぎて思っていたよりも早く読めちゃいました。
 翻訳小説を読んでいるみたいな小説。第二次世界大戦のヨーロッパが舞台となっていて、コック兵の主人公たちが戦場で起こる謎を解いていくミステリー。殺人ものではないけど、舞台が舞台なだけになかなか気が抜けません。謎に対する推理、序盤から少しずつはられていた伏線の回収は見事でした。また、キャラの設定から色んなことを考えさせられました。

 しかし、仕方ないこととはいえ、作中での登場キャラの死は複雑です。ラストのメガネは遺書のとおり、持つ必要がないとしてあの彼が持ち帰ったのでしょうか。良い読後感でした。おもしろかった!

 

★単行本