文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

瀬川貴次『ばけもの好む中将 平安不思議めぐり』

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イラスト:シライシユウコ

ときは平安。左近衛中将宣能は、家柄もよく容姿端麗で完璧な貴公子だが、怪異を愛する変わり者。中級貴族の青年・宗孝は、なぜか彼と共に都で起きる怪異の謎を追うはめになり……。
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-745062-0


 タイトルで『虫愛づる姫君』を思い出した。
 十二人の姉を持つ右兵衛佐宗孝は縁あって、ばけものを好む左近衛中将宣能とばけもの探しに出かけることに…。平安王朝ミステリー。コメディでもある。
 平安時代に不思議とくれば陰陽師のイメージが強いけれど、こちらのシリーズは宮中が主な舞台で本当に怖いのは人間、って感じの話。「不思議めぐり」というだけに、なんか不思議なできごとだったなあ…って感じの事件解決が多かったが、最後にきちんと伏線が回収された。そういうことだったのか! テンポのよい文章で楽しく読んだ。肩の力を抜いて、気楽に読める本。「牛車、爆発しろ」の台詞には笑ってしまった。平安時代よ。

 宗孝の十二人の姉が気になりすぎる。すでになかなか個性的な人たちが揃っていると思うのに、その他の姉はどんな感じなのか。十の姉上は設定山盛りって感じでそれもまた好き。初草の君もかわいい子だったな。読み書きはできないけど文字を見て、書いた人間の人となりがわかる能力。すごいなあ。
 続きも読みたい。

目次

一 仁寿殿の怪
二 角三つ生いたる鬼女
三 葵祭の夜
四 鵲の橋