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原宏一『ヤッさん』

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若くして都会の公園で寝起きする身になったタカオは、食に精通する誇り高きホームレス「ヤッさん」と出会う。ヤッさんはなぜか築地市場でも銀座の高級料理店でも一目置かれる存在だ。タカオは目を白黒させながら、豪快なヤッさんの背中を追い、様々な事件に揉まれながら成長していく。読む人読む人大評判、最高に愉快で痛快な連作短編集。
https://www.futabasha.co.jp/booksdb/smp/book/bookview/978-4-575-51528-2/smp.html


 おもしろい! あと料理の描写がおいしそうで、読んでる最中お腹がすいてしまいました。楽しかったのですいすい一気に読めちゃいました。
 ヤっさんの料理界で起こった難しいごたごたをさばく腕が見事。一体何者なんだ? と思ってましたが、話が進むにつれてわかってくるヤっさんの過去に、料理の腕前と確かな舌を持つ設定に納得。それほど詳しくは言及されてはなかったけど、重いというかそれだけのものでした。しかし、ヤっさんの気質はさっぱりとして心地よいですね。繰り返し出てくるホームレスの“矜持”とか。みんなが彼に親しみを寄せるのも頷けます。

 さて主人公のタカオですが、彼も根が真面目で憎めない良いキャラでした。恋愛フラグなんかも立てて色々ありましたが…。彼の結末はたしかに物語でいえば「ありきたりな終わり方」だったと思うけど、それがこのキャラらしいというか、とてもあってるような気がしました。
 どの話も良い読後でした。おもしろかった!

 

★単行本