文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

範乃秋晴『鴨川貴族邸宅の茶飯事 恋する乙女、先斗町通二条上ル』

  当サイトの記事には、広告・プロモーションが含まれます

絵:水飛ラム

京の風情あふれる鴨川ぞいをそぞろ歩き。するとその貴族邸宅が見えてくる。たぶん、あなたは優雅な仕草の執事たちに迎えられるだろう。そう、彼らこそ気まぐれな恋に生きる天使と悪魔――そしてとある専門家。
https://mwbunko.com/product/201203000771.html


 少子化、シンデレラ・コンプレックス、女性が結婚しない。そんな問題を解決するためにできた機関、国家執事…。
 そんな国家執事とお嬢様の話。女性たちの理想の王子様を演じ、持ち上げて突き落とすやり方は治療のためとはいえ、なんだかなあと思う。けど、このやり方に少しでも疑問を持つ執事もいたりして、ちょっと安心。しかし、国家執事というのも大変ですね。自分の恋はできないなんて。真の話でしみじみ思いました。

 そんな理想の王子様が揃う中、異色だったのが主人公の真坂。執事とは無縁そうな武術家で、世間離れしていて、常識がちょっと斜め上な感じ。なぜ執事になったと疑問を持ちたくなるような抜けた行動ばかりで、そりゃねーだろと思わず笑っちゃうことも。でも真っ直ぐで憎めないキャラでした。超売れっ子の少女漫画家の衣麻との進展(たぶん彼女が彼の初恋の人ですよね)とともに執事としての成長が気になります。彼女の描く「君の心臓に正拳突き」の今後もあわせて楽しみだったり。
 表紙絵が素敵だったので手にとったのですが、自分が抱いた印象とはだいぶ違った内容でした。


内容
 序章「古流武術家と執事の採用試験」
 第一章「春の王子様と恋するプリンセス」
 第二章「太陽の伯爵と姉妹の修羅場」
 第三章「月華の君と我が儘な彼女」
 第四章「氷の貴公子と幸せな花嫁」
 終章「執事見習いと貴族邸宅の結婚式」