文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

石井好子『バタをひとさじ、玉子を3コ』

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よく食べよう、よく生きよう——元祖料理エッセイ『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』著者の単行本未収録作を中心とした食エッセイ集。50年代パリ仕込みのエレガンス溢れる、食いしん坊必読の一冊。
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309412955/


 装丁から文章を含めた中身まで、おしゃれな本だと思う。古きよきフランスのにおいが感じられるのもいい。作者っが料理が大好きなんだというのがよく伝わってきます。作者のことはあまりよく知らなかったのですが(シャンソン歌手であることと、作中でも書かれていたけど、「オムレツ」の本の人、というイメージ)、お亡くなりになっているのですね。この方の本をちゃんと読むのは今回が初めてですが、すごく好みな本だったのでもう読めないと思うと悲しい。

 内容はやはり料理のことが中心で、作中で紹介される料理はどれもおいしそうでした。見たことも聞いたこともない料理なのに、文だけでもなんとなくイメージできてしまうのがすごい。簡単そうな料理は読後挑戦してみたくなります。時々でてきた手抜き料理もおいしそう。とにかく料理がおいしそうで、お腹がすく本です。
 そんな料理の話題が多い中で、作者がフランスで会った女給さんとの話は物悲しく切なくて印象に残りました。時代風景もそうなんだけど、そのときの空気とかそういうものまで伝わってきました。


★単行本の装丁も好き。読んだのはこっち。