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青木祐子『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ その1

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 青木祐子著の『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズの読書記録、1~5巻分をまとめました。
 古い読書記録ですが、今も昔も変わらずパメラが好き。

 イラスト:あき

『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』シリーズ

『恋のドレスとつぼみの淑女』

19世紀のイギリス。ロンドン郊外の町リーフスタウンヒルにある仕立屋『薔薇色(ローズ・カラーズ)』。店主クリスの仕立てるドレスは恋をかなえてくれると大評判。噂を聞いた公爵の令息・シャーロックは立つことのできない妹フローレンスのドレスを頼む。採寸のため屋敷を訪れるクリス。恋のドレスはフローレンスの心を映し出す。そこには思いがけない秘密が隠されていて…。
(引用元 https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?jdcn=08600716943006000000


 19世紀のイギリスが舞台! 心躍る設定にわくわくしながら読み進めました。
 物語は始まったばかりということで、まだなんともいえないのですが、とても好きな雰囲気の話でした。主人公たちは一生懸命だし。服飾用語もなんかわくわくしちゃいます。あんまり詳しくないのでカタカナが並んでいてもよくわからなかったりしますが、その辺はまた調べてみようかなと。
 闇のドレスをめぐる話と主人公クリスと公爵家のシャーロックとの恋が主な感じになっていくのでしょうが、どうなっていくことやら。公爵という身分が色々と障害になりそうな気が。でも、今回の話で妹は貴族でもなんでもない実業家と結ばれたし、それほど固い家ではないのかとも思いますが事情も違うし、と思ったり…。続きものだけど、その巻の中で話が一区切りするのはいいですね。
 登場人物ではパメラが結構好きです。友達思いのいい子です。そしてかわいい!


『恋のドレスは開幕のベルを鳴らして』

仕立屋『薔薇色(ローズ・カラーズ)』の店主クリスは内気な少女。着る人の心をドレスに映し出すことができるが、自分の恋には臆病で…。再起を賭ける女優マーガレット・ベルの舞台衣装を仕立てることになったクリスだが、心の闇を引き出す「闇のドレス」の存在に怯える。クリスに思いを寄せる公爵の令息・シャーロックは彼女をそっと見守るが、華やかな舞台の裏では事件の兆しが!
(引用元 https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?jdcn=08600756943007000000


 今回、クリスが作ることになったのは女優の舞台衣装。女優さんに、ではなく女優さんが演じる役のための衣装なので、前回とはなんか違う感じですね。しかし、服飾用語にはやはり胸躍るものがありますね。あとマーガレットの複雑な感情が読んでてなかなかおもしろかった。
 クリスとシャーロックの仲もそれなりに深まってきたような気がします。言葉にはしないけどお互い気にしてる感じ。この関係、結構好きです。雰囲気も良いし。そういえば、今回シャーロックの親戚、フリルことリルちゃんという女の子が登場したのですが、この子がすごく可愛かったです。挿絵なかったのが残念。
 前回に引き続き因縁の相手(?)でもある彼女も登場したのですが、あの人ほんと何でもできるんですね。パネェ。今後も登場するんでしょうか。関係性を作るのも難しそうですが。闇のドレスといえば、最初誰が着てるかわからなかったなあ。真相に、そうだったのかー、って感じでした。
 今回も楽しく読めました。舞台衣装制作で「薔薇色」の宣伝をしようとしていたのに、結局「恋のドレス」として有名になっちゃいそう、というオチにはちょっと笑っちゃいました。がんばれパメラ!


『恋のドレスと薔薇のデビュタント』

仕立屋『薔薇色(ローズ・カラーズ)』は、ロンドン郊外の町、リーフスタウンヒルにある小さな店。店主のクリスのつくるドレスは恋をかなえると大評判。男爵令嬢ファニールもまた、恋のドレスを注文しにやってきた。親に決められた結婚を目前にして、名も知らぬ初恋の人に思いをうちあけたいという。どうやら、その男性はクリスが思いを寄せる公爵の令息・シャーロックのようだが…?
(引用元 https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?jdcn=08600794943008000000


 今回もおもしろかった!
 このシリーズは女性がとても魅力的で好きです。ゲストキャラのファニーもかわいかったし。ドレス「空の涙」の描写も素敵だった。カラーで見たい感じ。あと、やはりパメラはかっこいい! 惚れるだろ、これは。
 ファニーとケネスの恋の行き先を特に気にしながら読んだ今回。身分もそうだけど、ファニーには婚約者がいましたからね。最初はどうなることかとはらはらしたものだけれど…。決闘のとことか悪いことにはならないだろうとは思いつつも、絶望的なシチュエーションだっただろうなと思う。シャーロックも結構なピンチに陥ったり。
 彼女がケネスという人と出会えてよかったと思う。微笑ましい二人でした。好きなカップルです。ファニーのメイドさんのノラも好きです。この子の勘はすごいと思う。

 恋といえば、シャーロックとクリスの仲もちょっと進展したような。進展ってほどじゃないかもしれないけど、クリスがシャーロックへの気持ちを自覚したことはかなり大きいかと。それから今回、1作目に登場したイアン医師が再登場しましたが、彼はパメラのこと気になってるっぽいですね。今後どうなっていくんだろう。


カントリー・ハウスは恋のドレスで』

仕立屋『薔薇色(ローズ・カラーズ)』は恋をかなえるドレスをつくると大評判。仕立て人のクリスと売り子のパメラは、とある公爵のカントリー・ハウスに住み込みでドレスを仕立てることに。公爵の愛娘アップルは気球で飛ぶことを夢見る少女。着飾ることを嫌い、採寸を拒むが、その理由は亡くなった彼女の母親と関係があるらしい。悩むクリスの前に、クリスが密かに思いを寄せる青年貴族・シャーロックが現れて……!?
(引用元 https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?jdcn=08600831943009000000


 今回のゲストはアップルさん。おてんばだけど人の悲しみをわかってあげられる優しい女の子。
 クリスの作ったドレス「秘密の森」、イラストは見れなかったけど素敵だったんだろうなあ。今回はクリスもピンクのドレスを着たり、ちょっと新鮮でした。そんなクリスのドレス姿が見られなかったシャーロックはさぞ残念だっただろうと思う。
 「薔薇色」といえば恋のドレス。巷ではそう認識されていたはずだけど、今回は第三者の口から「闇のドレス」という単語が出てきたことにちょっと驚きました。まあ、なぜそんな単語が飛び出たかというのも、それを言った第三者の正体が判明してすごく納得しましたが。アイリスさんはまじパネェ。芸達者すぎます。その才能というかポテンシャルというかをもっと別な方向に活かせばと毎度思うけど、彼女の復讐の炎もなかなか消えてはくれないのですね。もう色々超えちゃってるのかも。ともかく楽しく読めました。キャラたちの間の恋模様が気になります。


『恋のドレスは明日への切符』

内気な仕立人クリスと、社交的な売り子パメラ。ふたりが営む仕立屋『薔薇色(ローズ・カラーズ)』は、恋をかなえるドレスをつくると大評判。だがクリスは闇のドレスで貴族の娘ばかりを陥れるアイリスを怖れ、貴族からの依頼をすべて断ることにする。そんなある日、裕福な鉄道王の娘パトリシアがドレスの注文にやってきた。安心して引き受けたクリスだが、パトリシアの付き添い人(コンパニオン)は訳ありのようで…。
(引用元 https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?jdcn=08600865943010000000


 楽しく読めました。イラストも相変わらず綺麗。今回のドレスは「雪中花」。着る人の状況にあった素敵な意味の込められたドレスでした。
 ゲストキャラの女性の一人のイヴリンは結構好きな女性。パトリシアを嫌いになれないところ、非情になれないところとか。ユベールとイヴリンの階級差のある恋はクリスとシャーロックの間のものと似てますね。だから、ユベールは薔薇色に来たあとに心境変化があったのだろうか。
 それにしてもユベールがクリスの母・リンダと意外なところで繋がっていてびっくり。彼女はまだまだ謎のベールに包まれていますが、徐々に明らかになってきている感じがしますね。他にもクリスとシャーロックの恋とかパメラとイアンのこととかちょっとずつ進展が見られました。

 今回の印象に残るシーンの一つがシャーロックが銃を撃つシーンでした。アイリスはどうなったんでしょうか。一気に色々なことに近づいてきたような気がしますが、アイリスを捕まえたところで解決しなさそうな気も。というかアイリス普通に脱獄してきそう。彼女の背後にもっと何か陰謀めいたものがあったりして。
 そして触れるのが遅くなりましたが、今回の薔薇色のお客様、パトリシアについて。彼女は我が儘な部分があって、個人的にちょっとイラッとするタイプでした。が、憎めないのは根は悪い子じゃないからかな。クリスのドレスを着ると自然と素直になれるんですね。ユベールとイヴリンのことお祝いしなくちゃ、って場面を見て、かわいい子だなと思いました。
 あと、ちょっとした救いというか、イヴリンの父が自殺した場所を通るとき、ソールズベリ鉄道では弔意を込めて、鉄道のスピードを落とすという説明を見て、なんだかこみ上げてくるものがありました。

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