愛猫の「くも」が亡くなった。「くも」のことを思い出すうちに、花さんの記憶は現在と過去を自由に行き来する。『こころ』連載をまとめた最新フォトエッセイ集。
https://www.heibonsha.co.jp/book/b244338.html
ところどころに挟まれるモノクロの写真が雰囲気あってすてき。愛猫くもとの思い出話を中心としたフォトエッセイ。雑誌『こころ』で連載されていたもの。読んでるとなんだか時間が曖昧になる感じがした。現在なのか過去なのか…。
『猫のお化けは怖くない』というタイトルが好き。確かに猫なら怖くない。ちなみに著者の花さんはお母さんのお化けが出てきたことがあるそうで、それは思い出すだけで怖くてどんな内容か書きたくないそうだ。いったいどんな夢だったんだ?(ちなみに著者の花さんのお母さんは武田百合子さん)
作中にこんな一文があった。
風邪で寝込んだ時、怖い本を蒲団の中で読めば、ますます熱に浮かされ、快感である。昔からの習慣だ。入院した時も岡本綺堂や夢野久作や日影丈吉の本を持参した。麻酔のまだ醒めきらぬ朦朧状態に、病室での不安な夜に、ぴったりの読書。
「本」より p55