文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

中村玄『クジラの骨と僕らの未来』

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装画・挿絵:中村玄

小さな頃から生き物が大好きで、様々な動物を飼っていた著者は、中学2年生の時、骨格見本に興味を持ち、死んでしまったペットのハムスターの墓あばきを思いつきました…。
https://www.rironsha.com/book/20436


 第68回(2022年)高等学校の部の課題図書。読み終わったのは2022年1月14日で、読書感想文に良さそうだな、なんて思っていた。まさか課題図書になるとは。

 進路を考えている子、特に研究職が気になっている子におすすめ。小さな頃から生き物が大好きだった著者が骨に興味を持ち、クジラの研究者になるまでの過程が書かれた本。率直でわかりやすく、おもしろい。
 中学での牛や豚の内蔵観察から始まり、可愛がっていたハムスターの墓暴きからの骨格標本作り。そして、大学でのフィールドワーク…。ちょっとした知的好奇心が学問につながり、様々な出会いから現在の著者があるんだなあ。
 個人的に、なにわホネホネ団が気になった。調べてみたところ、大阪市立自然史博物館を拠点に活動する骨格標本作成サークルさんなのだとか。

 名前は聞くけど全容は全然わからない「研究職」がどういうものなのか(やっていることはすごく地道な作業)、海洋学研究ってどんなことをやるんだろう、というのもなんとなくわかった。
 クジラの骨の研究なんて、自分たちの生活には関係ないのかもしれない。けれども、クジラの分布図の変化で環境の変化がわかったり、今まで多くいた種が少なくなっていることに気づいたり、何かの発見につながっていくかもしれない。また長年研究者たちが残してきた成果が今の研究者の研究に役立っていく。研究からさらに次の研究テーマが生まれる。研究職って大変そうだけどおもしろい。