文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

筒井康隆『あるいは酒でいっぱいの海』

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河出文庫
カバーイラスト/柳原良平

奇想天外なアイデア、ドタバタ、黒い笑い、ロマンチック、そしてアッというオチ。数ページの中に物語の魅力がぎっしり! 初期筒井康隆による幻のショートショート集、復刊。
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309418315/


 ブラック感が強めのショートショート集。筒井康隆作品をきちんと読むのは初めてな気がするが、この本は初読には向かない気がする。いい意味で癖が強い。
 読後の余韻の良さとしては『睡魔のいる夏』が好き。『いいえ』『二元論の家』『脱ぐ』とかいろいろヤバい(語彙力)んだけど、なかでも特にこれはやべーなと思ったのは『底流』。よくもまあこれだけの悪罵を思いつくもんだなと感心してしまった。むしゃくしゃした時に読めば、すっとするかもしれないし、しないかもしれない。ここまでではない…とすーっと熱が引くかもしれない。おもしろかった!
 ちなみにタイトルは『あるいは牡蠣でいっぱいの海』のパロディなんだとか。良いタイトルだなあ。

収録内容

あるいは酒でいっぱいの海
消失
鏡よ鏡
いいえ
法外な税金
女の年齢
ケンタウルスの殺人
トンネル現象
九十年安保の全学連
代用女房始末
スパイ
妄想因子
怪段
陸族館
給水塔の幽霊
フォーク・シンガー
アル中の嘆き
電話魔
みすていく・ざ・あどれす
タイム・カメラ
体臭
善猫メダル
逆流
前世
タイム・マシン
脱ぐ
二元論の家
無限効果
底流
睡魔のいる夏
ケンタウルスの殺人」解決篇


 解説に日下三蔵氏によるブックリスト、星新一筒井康隆以外の主なショートショート集」が挙げられていた。読めそうなのは機会があれば読みたいなあ。

福島正実
『SFハイライト』三一書房
『分茶離迦』ハヤカワ・SF・シリーズ
『未踏の時代』ハヤカワ・SF・シリーズ
『就眠儀式』角川文庫

小松左京
『ある生き物の記録』ハヤカワ・SF・シリーズ
『明日の明日の夢の果て』角川書店
『一生に一度の月』集英社文庫
まぼろしの二十一世紀』集英社文庫

眉村卓
『ながいながい午睡』三一書房
『C席の客』日本経済新聞社
『ぼくの砂時計』講談社

豊田有恒
『自殺コンサルタント三一書房
『イルカの惑星』文化出版局
『夢の10分間』徳間書店

広瀬正
『タイムマシンのつくり方』河出書房新社

平井和正
『怪物はだれだ』角川文庫

矢野徹
『王女の宝物蔵』文化出版局

半村良
『幻視街』講談社

光瀬龍
『見えない壁』立風書房