文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

宮部みゆき『過ぎ去りし王国の城』

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表紙・黒板絵:れなれな

早々に進学先も決まった中学三年の二月、ひょんなことから中世ヨーロッパの古城のデッサンを拾った尾垣真。やがて絵の中にアバター(分身)を描きこむことで、自分もその世界に入りこめることを突き止める。
https://www.kadokawa.co.jp/product/321709000371/


 表紙がすごく好き。平行世界など若干SFチックな部分もあるファンタジー
 ちょっと思ってたのと違う感じだった。凝った世界観なんだけど、いまいち入りきれませんでした。新事実、みたいなのが結構唐突にぽろぽろと出てくるというか…。絵の中での別の人間との邂逅とか、絵の中の世界のしくみとか。でも、文章が読みやすいので割とさらっと読めました。さすが宮部みゆき

 絵の中の女の子の設定がいまどきそう珍しくもない感じの悲惨さで、読んでてなんとも言えない気持ちになりました。ずっとお城の中で暮らすことが幸せなのかどうなのかは難しいところですが、女の子がラストでちゃんと救われてほっとしました。女の子を助けるためのタマちゃんの行動に少し驚きました。彼女もまた救われればいいんだけど。希望の持てる結末でした。