訳:井伏鱒二
なんだかすごく長い物語を読んだ気分です。おもしろかった! やっぱりドリトル先生シリーズにはドキドキとわくわくがいっぱい詰まってると思う。
今回はノアの箱舟を知っているカメのドロンコじいさんの昔話がメイン。ドロンコとその妻ベリンダが人間の少年少女を助ける話、雌トラたちからの逃避行はほんとに手に汗握る物語でした。1人の人間の王の国から大洪水後のゾウの王様の国に転ずる話など、児童書ながら深いものがありました。エバーとガザを救うためのドロンコの演説しははっとさせられました。
チープサイドの珍しい一面が見れたり、楽しい巻でした。マシュツ王の宝物の山を目の前にしても、その元の持ち主のことを思いやれるドリトル先生はさすがです。少しくらいもらったっていいじゃないか、と思う私は卑しい人間なんですかね……。
○角川つばさ文庫版