文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

アラン・ブラッドリー『パイは小さな秘密を運ぶ』

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訳:古賀弥生
装画:村松葉子
装幀:内海由

1歳のあたしは、イギリスの片田舎で、化学実験に熱中する日々をすごしてる。ある日、何者かがコシギの死体をキッチンの戸口に置いていき、父が尋常ではない恐れを見せた。そして翌日の早朝、あたしは畑で赤毛の男の死に立ち会ってしまう。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488136024


 翻訳ものはなぜか読む速度が遅くなるというか、理解が遅れるというか、読み進められなかったりする。今回もそういうところはあったけど、すごく楽しく読めた。イギリスって感じの雰囲気がいい。キーアイテムが切手というのもいい。てっきり作者はイギリス人だと思ってたけど、カナダの方のもよう。

 登場人物がとにかく魅力的だった。特に主人公のフレーヴィア! 11歳にして毒にとても詳しい女の子。最初はちょっととっつきにくい感じの子かな、と思ってたけれど、お茶目なところ(でも口紅に漆はきつい!)とか本当は心優しいところとかちゃんと書かれてて、可愛らしい女の子だった。年齢にしては毒物に詳しすぎるのがちょっと怖いところかも。
 ミステリ部分に関しては特にびっくりとかはなかったけど、ラストのフレーヴィアと犯人との一悶着はやはり彼女の年齢のこともあるし、どきどきした。あと、タイトルにも出て来る「パイ」はその意外な中身などから、ちょっと印象に残っている。
 この作品もシリーズで続編がすでに出ているそうなので、機会があれば読みたいなあ。