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三川みり「シュガーアップル・フェアリーテイル」シリーズ

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 三川みり著、「シュガーアップル・フェアリーテイル」シリーズの読書記録。6巻まで。

 イラスト:あき

「シュガーアップル・フェアリーテイル」シリーズ

『銀砂糖師と黒の妖精』

人間が妖精を使役する、ハイランド王国。母を亡くしたばかりの少女アンは、母のあとを継ぎ、銀砂糖師になることを決意。用心棒として、口の悪い戦士妖精のシャルを雇い、銀砂糖師の称号を得るため王都へと旅立つが!
https://beans.kadokawa.co.jp/product/series24/200909000483.html


 長く続いている人気シリーズみたいですね。気になっていたので読めてよかった。
 砂糖林檎、銀砂糖師…と作中に出てくる単語も繊細というかきらきらしてるというか、なんか個人的にときめく単語が多いです。

 砂糖林檎から精製される銀砂糖から繊細な砂糖菓子を作る。そんな銀砂糖師を目指す女の子の、どちらかというと成長物語。健気に前向きに頑張る主人公アンの姿は好感が持て、応援したくなります。
 今回は妨害があったりと、砂糖菓子をお披露目する品評会では結果が出せませんでしたが、次はうまくいきそうな気がしますね。戦士妖精シャルとの関係も気になるところです。彼、口は悪いけどなかなか優しいですよね。
 あと恩返しのためにと、地獄の底(ちょっと怖い…笑)までアンについていくというミスリルがどんな恩返しをするのかというのも気になります。この子はかわいい!


『銀砂糖師と青の公爵』

ハイランド王国の冬。聖なる特別職・銀砂糖師を目指す少女アンは、宿代にも事欠く貧乏っぷり。そんなとき、フィラックスの町を治めるアルバーン公爵が、望み通りの砂糖菓子を作った者に破格の報酬を出すと知り!?
https://beans.kadokawa.co.jp/product/series24/200909000484.html


 今回もおもしろかった! シャルとアンがいい感じになってきてますね。ミスリルはアンの気持ちにしっかり気付いているのに、シャルはあんまりわかってない様子なのがおもしろい。それを知ったら、どんな風になるんだろう。気になる反面、もう少し現状を維持してほしいような気も。なので、今回シャルやミスリルの羽が他者に渡ってしまったときはどきりとしました。本人のもとに戻ったときはほっとしたもんです。アン、シャル、ミスリルのやりとりはやっぱり好き。シャルとミスリルも兄と弟みたいな感じで微笑ましい。

 アルバーン公爵の望み通りの砂糖菓子の作成に苦戦していたアンですが、この件で自身の技量を発揮し作品の完成度を上げる、だけでなく(技量など関係なしに)依頼者の心に添うような作品を作る、ということを知り、また一歩職人として成長したような。砂糖菓子職人としての彼女の今後も期待ですね。
 しかし、ジョナスがまた登場して、またやらかすとは。一作限りのゲストキャラだと勝手に思ってました。彼、少しは考えを改めるといいのですが。


『銀砂糖師と白の貴公子』

砂糖菓子品評会の季節がやってきた! 今年こそ銀砂糖師にと気合いを入れるアン。けれど砂糖林檎はまれに見る大凶作! 自分の分を確保するため、宿敵ジョナスが属する工房に下宿することになったアンだけど…!?
https://beans.kadokawa.co.jp/product/series24/200909000485.html


 新キャラたくさん。前回ちらっと名前が登場したキャラも出てきて、いつもより賑やかな感じ。
 アンとキースの砂糖菓子職人としての誇りを大事にした戦いは良かったです。嫉妬で嫌がらせをすることもなく。いいコンビでした。キャットもいいキャラですね。色々な謎も気になる。今後も出てきそうですね。

 で、今回はやっとアン念願の王家勲章。銀砂糖師になることに! とうとうやったね! って感じで幸せいっぱいのはずが…。シャルと離れ離れにならないといけないとは。なんでこんなことになっちゃうんですかね。すり返られたアンの銀砂糖の在り処を教えてもらうために、大切な羽根を渡して自分の自由を失ったシャル。せつないです。アン、シャル、ミスリルの3人旅の様子が好きなので、また一緒に旅が出来ることになることを祈ります。


『銀砂糖師と緑の工房』

アンの夢を叶えるため、自らを売ったシャルを追い、アンはペイジ工房へと乗り込む。しかし砂糖菓子職人の大派閥であるはずのペイジ工房は、なんと没落寸前。工房を建て直せたら、シャルを返すと言われたアンは!?
https://beans.kadokawa.co.jp/product/series24/201011000131.html


 前回の最後があれだっただけに、なんとなくペイジ工房に良い印象がなかったのですが、読み終わる頃には人の少ない静かな工房とそこに住む人々がアンと同じように好感の持てるものに。ラストの工房への帰還シーンは良かった。本当に家族みたい。使役されている妖精たちもかわいい。
 今まで同様、やはりアンの前には試練が立ちふさがるのですが、周りの人々が持ってる気持ちが違うと、全然変わりますね。アンが銀砂糖師であるということの影響もあると思うのですが、最初はずれていた工房の人々たちとの歯車がかみ合っていくさまは読んでて嬉しくあり、心強くあり。彼らの作った砂糖菓子が素敵でした。誰かのために作りたいものを作る、という考えは大切だ。

 一時はどうなるかと思っていたシャルですが、無事羽根が戻って何よりです。エリオットとグレンさんが良い人でよかった。アンは本当に迂闊というか、頭がまわらないというか、正直というか。小賢しい考えが回らないところが良いところともいえるけど。
 アンとシャルの距離が近づいてるのを見るとにやにや、やきもきしてしまいます。ミスリル・リッド・ポッドもこんな気持ちなのでしょうか。アンは3人一緒がいいというけど(その考えはこちらも嬉しいけど)、ミスリルは勝手に気を使ってお節介焼きそうだなーって思って読んでたら、早速気を使ってて笑いました。
 一応丸く収まった砂糖菓子の選品会ですが、今回現れた戦士妖精の思惑が気になります。ブリジットさんが早速誑かされそうですが…。今後の動向が気になるところ。キースやキャットらもまた登場しそうなので、彼らの登場も楽しみです。そういえば、ジョナスはどこに行ってしまったんでしょうね。


『銀砂糖師と紫の約束』

新聖祭の砂糖菓子を作る、名誉ある仕事をすることになった銀砂糖師の少女アン。巨大な砂糖菓子の製作には広い場所が必要。そのため国教会から格安で城を借りることにしたアンだけど、その城はなんと幽霊城で!?
https://beans.kadokawa.co.jp/product/series24/201011000132.html


 新聖祭のための砂糖菓子を作ることになったペイジ工房の人たちだけど、そう簡単に作らせないのが読んでてはらはらします。天候の変化で銀砂糖が駄目になったり、人手が足りなかったり。ブリジットは得体の知れない妖精連れてくるし…。
 銀砂糖子爵のヒューとの勝負はちょっとどきどきしました。一応勝つことはできたけど、納得していないアンに職人として意識の高さを感じました。この勝負でキャットが作業に加わってくれることになったけど、ほんとに新聖祭に間に合うんでしょうか。勝負で時間食ってるような気がしますが。
 でも、まあノアが回復して何より。ノアとハーバートの絆には温かな気持ちになりました。アンみたいに妖精に羽根を返すような人がいるっていうのは、なんだかほっとします。

 しかし、もう一方の新妖精のグラディスことラファル氏はまだまだ謎ばかりですね。一体何を企んでいるのやら。シャルの黒曜石と同じ剣に使われていた黄玉石ということですが…。2つの石と一緒に金剛石もあったというので、その金剛石からも妖精が生まれてたりするんでしょうか。とにかく砂糖菓子完成までにまた一波乱ありそうな感じ。気になる引きだったので、続きを読むのが楽しみです。


『銀砂糖師と赤の王国』

新聖祭に向け、砂糖菓子作りに余念のないアンたち。そんな時、ペイジ工房の優秀な職人・オーランドが襲われた。襲ったのは、銀砂糖師襲撃事件を起こしていた妖精のラファル。しかもアンがラファルにさらわれて!?
https://beans.kadokawa.co.jp/product/series24/201011000133.html


 前回の引きからどうなっちゃうのか気になってはいましたが、アンたちには困難ばかり降りかかりますね。キャットが手伝いに来てくれる! となったところで、オーランドの負傷…。そして、アンとシャルが連れ去られたり。砂糖菓子は間に合うのか、無事帰ってこれるのか非常にはらはらしながら読んでましたが、意外な人たちの協力もあって、なんとか新聖祭が成功に終わりなにより。砂糖菓子の描写がすごく美しかったです。どんな感じなのか実物見てみたい。

 それにしても今回は人と妖精の違いを考えさせられる回でした。ラファルの一言で、お互いがお互いを不幸にする、と考えてしまうアンとシャルが切ないです。こんなに想いあってるのに、種族の違いって難しい。しかし、シャルがこんなにアンのことを大切に思うようになる日が来るとは…。なんだか感慨深いです。
 新聖祭も無事終わり、ペイジ工房もなんとか盛り返しそうですね。ブリジットの成長もちゃんと描かれてたし、エリオットとの婚約のこともちゃんと話がついたし。ブリジットは砂糖菓子作ってくれた人が誰だかわかったらどう思うだろう。オーランドとブリジットはなかなか良い感じだと思いますが。
 あとはアンの今後が気になるところ。ペイジ工房に残るのはやめたみたいですが、一緒に工房を作ろうと提案するキースにどう答えるのでしょうか。ラファルや金剛石がどうなったのか、ジョナスの今後も気になります。
 とそんなこんなで今回も楽しく読みました。アンたちページ工房側の妖精たちが大変かわいらしかったです。ノアの働きぶりは微笑ましかった。