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香月日輪『妖怪アパートの幽雅な日常』シリーズ

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 香月日輪著『妖怪アパートの幽雅な日常』シリーズの読書記録。3巻まで。

「妖怪アパートの幽雅な日常」シリーズ

『妖怪アパートの幽雅な日常 1』

ひとり暮らしの始まりは、妖怪たちのすむ奇妙なアパート――。
違う世界や違う価値観があってこそ、世の中はオモシロイ!

夕士が高校入学と同時に始めた、あこがれの下宿生活。
幼い頃に両親を事故で亡くしたため、早く独り立ちをするのが彼の夢。
ところがそこには、ちょっと変わった、しかし人情味あふれる《住人たち》が暮らしていた……。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000181878


 面白かった!
 あるきっかけから主人公・稲葉夕士が過すことになったのは、よくある普通のアパートとは一味違うものだった。古い建物だが好条件のアパート、賄いつき! あまりの好条件に曰くつきの場所なのではないかと夕士は疑うが、タイトルどおりそのアパートには変わった住人が暮らしている。

 夕士の中の色々な常識を壊した生活。人間と人ではない者たちが一緒になって暮らすアパートでの生活はなんだかとても温かでした。普通ではないものが集まってるからなのか、何でも受け入れてくれるような大きな何かがありますね。キャラたちもそれぞれ個性的で癖があるのに親しみが湧きます。
 小さな子どもの幽霊のクリといつも一緒にいる犬の幽霊シロのエピソードは哀しいものだったけど、そんな哀しい過去を持つ彼らを想う周りの心は、人・妖怪関係なくやっぱり温かかったです。現実にある醜いこと、厳しさ、問題など話には触れられていることがあり、だからこそアパートの住人たちの温かみがより強く実感させられるのかなと思う。
 話の中にはたくさんの人ではないものが出てきますが、その中に賄いを担当している手首だけの存在である、るり子さんがいる。作中でも色んな登場人物がるり子さんの作った料理を大絶賛しているんですが、メニューが文中に並んでるだけでもおいしそうで、お腹が空きます。真心のこもった料理はさぞかし美味しいのだろうなあ。


○文庫

○文庫。こっちバージョン好きだな。

○コミック版



『妖怪アパートの幽雅な日常 2』

「なんなりとご命令を、ご主人様」
封印の解かれた魔道書から現れる22匹の妖魔たち。自らの秘めた力に気づいた夕士と親友・長谷。
――――――運命の幕あけ!


 シリーズものなので主人公に何かあるとは思ってましたが、やっぱり主人公には特殊な能力があったようです。今回主人公がちゃっかり手に入れた本の力も今後の話の展開に繋がる感じですね。あの力が役に立つかどうかはいまいちわかりませんが。なんとも未知数な力です。
 夕士が能力を使いこなすための修業をする中、妖怪アパートに夕士の親友である長谷がやって来ます。作中でも二人の話は多めでした。愛しい発言にはちょっとびっくりしましたけど、良い関係だなと思う。アパートにやってきた長谷の住人たちへの挨拶はまるで夕士の親のようでした。しかし、ほんとこの子抜かりないなあ。そういえば、長谷のフルネームは2巻が初出でしたね。
 今回もおもしろかったです。

○文庫

○文庫



『妖怪アパートの幽雅な日常 3』

学校の怪談?
講堂の小部屋にオバケが出るという噂が。確かめに行った夕士と田代、妖魔フールがそこで目にしたものは……。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000182392


 妖怪アパートシリーズの3作目です。2巻で手に入れた魔道書も活躍してます。活躍と一言で言ってしまうのは色々と語弊がありそうですが、魔道書の中の僕たちはどれも一癖も二癖もあって、次はどんなやつが出てくるのかと楽しみでもあります。内容も楽しめました。やっぱりヤングアダルト向けって感じですね。時々夕士の語りがこそばゆくなります。あと、相変わらず出てくる料理のメニューの名前がおいしそうで、お腹がすきます。ラストの売られた喧嘩を買わずに逃げちゃう夕士とフールのやり取りがなんか微笑ましかったです。

○文庫

○文庫。装丁違い