装画:越島はぐ
太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。
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いつも色んな作家の古書が話に関わってきますが、今回は太宰一色。以前、『晩年』で一悶着ありましたが、まだ話は終わってなかったのですね。古書には色んな人のエピソードがあるとはいえ、随分数奇な運命を辿っているようで…。五浦くんの血筋のこととか栞子さんの家族のこととか、意外な繋がりがあったんですね。世間は狭いというか、なんというか。2人の出会いも不思議な縁のように思います。今回で栞子さんの母の謎の核心にかなり迫ったような。読んでて、少しどきどきしました。
それにしても、メイン2人が付き合ったということで甘い展開もくるかと思ったりしましたが、そんなことはなかったですね。栞子さんの可愛らしさは相変わらずでしたが。(多少の甘さはあったような気もします)あと、付き合い始めたこともあってか、少し五浦くんが頼もしくなりましたね。いいことだ。妹の文香ちゃんの口の軽さには笑いました。でも、あの子は憎めないんだよなあ。
今回も楽しく読みました。次回で完結だそうで、続きが楽しみです。太宰作品はあまり読んだことないのですが、この本を切欠にとても興味がわきました。