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深草小夜子『悪魔の皇子 アストロッド・サーガ』

絵:みなみ遥

「呪われてあれ、兄君! 貴様に私がくれてやるものは、この先、死のみと知れ!!」──『悪魔の皇子』と呼ばれ、闇の力を持って生まれついた異母兄弟。光の王女を間にはさんでの、数奇なる宿命の戦いが始まる──!
https://beans.kadokawa.co.jp/product/200401000463.html


 ファンタジー。もう一冊と合わせて完結ということで、読んでみないことにはなんともいえませんが、主人公アストロッドの復讐劇のようです。作中では主人公アストロッドとその異母兄であるシェラバッハとの容姿や能力の比較が多々あるのですが、能力はともかく、表紙や挿絵が美麗なので、美醜の違いを言われてもあまりピンと来ませんね。文章読んでいてもそう差はないような気はします。読みが浅いのか。

 兄のシェラバッハが王位に就くことになってから、主人公の運命は大きく変わります。体を失い、女の体の中に己の魂を宿し逃げる日々。まるでジェットコースターに乗ってるかのような展開。そんな中で主人公も優しく聡明で美しい王女(己の魂の器でもある)を愛するようになるんですけど、今まで人を愛することのなかった、という主人公がそうなる理由・きっかけが自分にはちょっとわからなかった。そうなるんじゃないかという予測はついてたけど、唐突といいますか。でも、それからの彼のナシエラに対する接し方は柔らかくて好きですけど。
 一つの体の中で二つの魂が共存することはできない、ということでナシエラの魂の方が弱まり、最終的には消えてしまうんですが、この部分も急だったなあと思う。ナシエラの恋人であるヴィロッサも登場人物説明のところに紹介されてたから、もっと出番あってもいいんじゃないかと思いましたが、それほどありませんでしたね。彼の最期の場面のとこで、アストロッドが眠っているナシエラの意識を起こす場面が何故か印象に残ってます。

 ところで、この話の中で王女の体の中に主人公の魂が入り、その状態で兄はその王女を自分の傍に置こうとするんですが、これちょっとBL入ってますよね。シェラバッハとナシエラは作中で口付けも体を重ねることもしてるんですが(後者はその事実だけがある感じ)、ナシエラの体でも意識はアストロッドってことは、これは……。BLのことはあんまり意識してなかったんですけど(その分野を読んでるつもりもなかった)。そっち方面だって考えると、見方も変わってきます。シェラバッハは元から弟が手に入れたかったんだろうか。優しくできずに、きついことしかできないなんて不器用だ。といっても、あれは不器用で済ませるレベルじゃありませんが。国一つ滅んでるし。